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生き方の意思表明――「リビングウィルノート」作成の勧め

前回は、「争続」防止のために公正証書遺言を作成すべきケースを見てきました。今回は、自分らしく生きるための意思を記す「リビングウィルノート」の作成について説明します。

リタイア準備の第一歩として「理想の老後」を書き出す

前回までで、高齢になると財産管理がより重要となるにも拘らず、現実には認知能力が低下するためにそれが困難になり、場合によっては大きな問題を引き起こすリスクがあること、そして、そのリスクを回避するために任意後見制度という制度があることについてお話ししてきました。

 

ここまでをお読みいただいて、「今から老後の準備を始めても早すぎることはない」と、認識を新たにした方も多いのではないでしょうか。

 

そう思った方は、老後の生活設計の第一段階として、自分の理想とする老後について、思いつくことを全てノートに書き出してみてほしいと思います。私はそのノートを「リビングウィルノート(生きる意思を記したノート)」と名付けたいと思います。

 

「リビングウィル」という言葉は、最近、しばしば見受けられるようになってきました。多くの場合、尊厳死に関連して使われているようです。

 

例えば、自力呼吸ができなくなったときに人工呼吸器をつけるかつけないか、あるいは口から食べ物が食べられなくなったときに、胃ろう(胃に直接栄養を流し込む処置)をするかしないかといったことについて、あらかじめ自分の意思表示をするという意味で使うことが多いようです。

どんな状態になっても自分らしく生きるために…

今回、本連載を執筆するにあたり、私はこの「リビングウィル」という言葉を、よりポジティブな意味で使いたいと考えました。

 

数年前、「エンディングノート」という、自分の死亡に関して、事後処理の希望を記すノートがヒットしました。エンディングノートは、高齢者の間ですっかり定着した感があるので、その存在を知っている人はもちろん、「私も書いた」という人も少なくないことでしょう。

 

エンディングノートは、人が昔から最も恐れ、最も忌み嫌っていた「死」に対する意識を、大きく変える役割を果たしました。エンディングノートの登場によって、死は、厭うべき人生の終着点ではなく、自分に与えられた生を終えるために、正面から見据え、意思を持って向かっていくべきものと感じるようになった人は、少なくないでしょう。

 

私が提唱するリビングウィルノートも、認知症を発症する可能性の高まる、人生の終盤の時期を、ただ忌まわしいものとして遠ざけたり、見て見ぬふりをしたりするのではなく、どんな状態になっても自分らしく生きようという意思を持って、しっかりと受け止めるためのものです。

南青山 M’s 法律会計事務所 代表社員
一般社団法人社長の終活研究会 代表理事 弁護士/公認会計士

弁護士・公認会計士。南青山M’s法律会計事務所代表。芦屋大学経営教育学部客員教授。
1973年愛媛県生まれ。1995年一橋大学経済学部卒業。2006年成蹊大学にて法務博士号取得。1995年監査法人トーマツ(現 有限責任監査法人トーマツ)入社、上場企業の監査、M&A等に携わる。その後、会計事務所、法律事務所勤務等を経て2009年に南青山M’s法律会計事務所を設立。個人、企業にとって身近な法律問題はもちろん、税務問題、会計問題、それらが絡み合う複雑な問題についても、冷静に問題を分析し、依頼者にとって最も利益となる問題の解決方法を提案、実践している。著書に『ドロ沼相続の出口』『老後の財産は「任意後見」で守りなさい』(幻冬舎)、『今すぐ取りかかりたい 最高の終活』(青月社、共著)。

著者紹介

連載老後の財産管理に有用な「死後事務委任契約」「遺言」の活用術

本連載は、2015年11月25日刊行の書籍『老後の財産は「任意後見」で守りなさい』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

 

老後の財産は 「任意後見」で守りなさい

老後の財産は 「任意後見」で守りなさい

眞鍋 淳也

幻冬舎メディアコンサルティング

昨今、高齢者を狙った詐欺や「争続」が新聞やテレビなどのメディアで盛んに取り沙汰され、老後の財産管理に対する不安が高まっています。高齢になると判断能力が低下してしまい、望まないかたちで財産を失ってしまうケースは多…

 

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