(※写真はイメージです/PIXTA)

夫が定年退職してから夫婦で過ごす時間が増えると、夫婦仲が悪化してしまうケースも少なくありません。こうした夫婦関係の悪化は「医学的視点からみれば当然」だと精神科医の和田秀樹氏はいいます。本記事では和田氏の著書『老化恐怖症』(小学館)から一部抜粋し、更年期を迎えてからも「夫婦円満」を保つ秘訣について解説します。

性ホルモンの「男女差」が、妻と夫の感情にも影響する

さて、性ホルモンの変化には「男女差」があります。女性が更年期を終えると(たいていは50代の半ばまでに)、女性ホルモンが減る一方で、男性ホルモンがむしろ増えます。男女ともに前頭葉が縮むので意欲などは減退しますが、妻(女性)の場合、男性ホルモンの分泌が増えるおかげで50代以降も意欲が保たれるわけです。

 

趣味や人付き合いにも積極的になり、知的好奇心も増すことがあるでしょう。娘と一緒に若い男性アイドルや韓流の追っかけを楽しむケースがあるように、異性に対する関心が増す場合もあります。

 

一方、男性ホルモンの分泌が減るうえに、前頭葉が縮んで「感情の老化」も進む夫(男性)はどうでしょうか。

 

意欲も好奇心も低下すれば、妻から旅行やちょっとした外出に誘われても気が乗らないのは理解できますし、人付き合いにも消極さが目立つようになるでしょう。

 

より活動的になり、人間関係も含めて新しい世界を開拓しようとする妻と、放っておけば元気がなくなる一方の夫の間に溝ができてしまうのは、ある意味では当然のこと。

 

もし、定年を前にした男性が「妻についていけない」と思い悩むようなら、「夫婦なんだから一緒に行動しなければ」という思い込みをお互いにまず捨てることをお勧めします。

 

定年後に自宅で過ごす場合でも、1日3食を同じテーブルで向かい合って食べる必要はないでしょう。たとえば昼食はそれぞれが好きなものを好きなところで食べればいい。

 

妻が旅行に行きたがれば、親しい友人との旅行を勧めるなどして、夫はいちいち干渉しないほうが、お互いにとって無理のない生活と言えないでしょうか。

 

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