今回は、夫亡き後、家族の「長」に妻が就任すべき理由について説明します。※本連載は、ファイナンシャルプランナー・高橋成壽氏の著書、『ダンナの遺産を子どもに相続させないで 50~70代のみなさまへ わが子のためにもなる相続と老後のマネー術』(廣済堂出版)の中から一部を抜粋し、50~70代の女性を対象とした相続対策のポイントなどをご紹介します。

一家のイニシアチブをとるのは「お父さん」だが・・・

多くのご家庭で、家族旅行や、お正月に家族みんなが集ってお祝いするなどの家族イベントのときに、奥様が意見を聞く相手はご主人ではないでしょうか。

 

もちろん、家のなかのことを切り盛りされているのは奥様で、そのことではきっとご主人も頭が上がらない(?)のでは……と思いますが、いざというときにイニシアチブをとり、家族の大事のときや、誰かの一言で物事が決まるというようなときには、やはり「お父さん」ではないでしょうか。

 

しかしご主人が亡くなった後は、そのご主人の立場は奥様が引き継ぐべきでしょう。

 

ご主人亡き後に、長男・長女が何かというとリーダーシップをとろうとし、それが他のきょうだいの反感を招いてしまうようなこともあると聞きます。

 

先ほども申し上げたように、きょうだいはやはり互いに平等でいたいという意識があるため、かえって利害関係が生じやすいものです。

 

またよくあるのが、何かと長男(長女)風を吹かすわりに、「口は出すが、金は出さない」ために、もめごとになるというケース。「子どもたちきょうだいで仲よくしてほしい」というのは、親なら誰もが望むことです。

「尊敬できる母親」の存在が家族の求心力に

そのためにも、お母様、夫亡きあとはあなたが一家の「長」になるのがいちばんです。

 

そして、

「お父さんのお命日にはみんなでお食事をしましょう。もちろん、食事代はお母さんが出すから心配しないでね」

「夏休みにはみんなで旅行をしたいわね。みんなの予定はどうかしら?」

 

などなど、子どもたちへのサービスも盛り込みながら、一家をとりまとめます。

 

こうすることで、子どもたちも、一家の長としてのお母様に尊敬のまなざしを向け、尊重するようになります。

 

そのような「尊敬できるお母様」の存在が、家族の求心力となり、子どもたち同士の、家族の絆を深めることになるのです。

 

それには、お母様ご自身の「経済的自立」、「気持ちの自立」が不可欠ですが、そこに、夫からの遺産をしっかり妻が握っておくことの大きな意義があるのです。

本連載は、2014年12月5日刊行の書籍『ダンナの遺産を子どもに相続させないで』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

ダンナの遺産を子どもに相続させないで 50~70代のみなさまへ わが子のためにもなる相続と老後のマネー術

ダンナの遺産を子どもに相続させないで 50~70代のみなさまへ わが子のためにもなる相続と老後のマネー術

高橋 成壽

廣済堂出版

60代前後の女性は、ダンナが亡くなった後のことをほとんど考えていません。ダンナが亡くなったあと、年金が大幅に減ることも、現金がないと家や土地を子どもに半分分け与えることになってしまうことも、ほとんどの人は知りませ…

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