気を張り、頭も使う「大きな財産」の管理
持ち家と宅地から、金融機関の預貯金や有価証券、それに保険に至るまで、妻が全財産を相続することには、意外な〝副次効果〟があります。それは、
「ボケ防止」
ができるということです。
今まで通り、一家の家計を預かり、日々月々の生活費を、やりくりする分には、何千円、何万円、せいぜい多くても数十万円程度のお金の足し算引き算ですみます。
しかし、この先何十年分かの生活資金や、あちらこちらの金融機関に預けているお金、有価証券、保険も含めた全財産を管理するとなると、何しろまず、「ケタ」が違ってきます。また、資産運用も自分でやるとなると、それなりに「勉強」もしなければなりません。
そういうお金の管理も、面倒くさいからと子どもさんに任せるのではなく、ぜひご自分でやってみてください。
子どもさんにしても、頼まれればいやとは言わないでしょうが、日々の生活で忙しいので、負担になるかもしれません。
また、子どもさんのうちの誰かひとりに頼むことで、他のきょうだいが、「お母さんの財産をお兄さんが管理しているみたいだけど、自分の都合のいいようにしないかしら」など、疑心暗鬼になることもあり得ます。
子どもたちの間に要らぬ争いのタネをまくより、夫が遺してくれた財産は、自ら責任をもって管理するのがいちばんです。大きな財産、それも夫から受け継いだ大事な財産を管理することで、気も張りますし、頭も使います。
視野も広がり、新しい発見も?
また、資産運用も自分で行うとなると、経済や社会の動きにも注意するようになり、関心のなかったことにも興味を持つようになり、これまでは入ってこなかった情報も入ってくるようになり、視野も広がれば、新しい発見もあるでしょう。
それは、「これまでお父さんに頼りっぱなしだったけど、私だってやればできるんだわ」という自信にもつながります。
気持ちが若返り、そうすると外見も若返り、なんといっても「ボケ」防止に役立ちます。
もし、どうしても不安な場合は、ファイナンシャルプランナーをご利用ください(宣伝のようで恐縮ですが……)。
間違っても、最初に金融機関に行かないでほしいと思います。とくに銀行は、保険金や遺産が振り込まれると、とたんに営業にきますので、注意してください。彼らの話を聞く必要はありません。