資産管理しながら、自由気ままな生活をする重要性
夫から家・宅地を相続し、十分な資産を相続し、誰に遠慮することも気兼ねすることもなく、自由気ままに余生を過ごす──。
「でも子どもたちだって余裕があるわけでないのに、私だけ、そんな悠々自適な生活をさせてもらってもいいのかしら?」
──と、なんとなく後ろめたさを感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、それは無用です。
経済的にも自立し、自分できちんと資産管理しながら、自由気ままな生活を送っていれば、ボケ防止にもなり、気も若くなります。ストレスがなければ、病気にもかかりにくくなります。盆暮れも、子どもに帰省させずに、母自ら旅行ついでに子や孫の顔を見に行ってもよいでしょう。帰省ラッシュとも無縁になりますし……。
こうして、母親がいつまでもイキイキと元気に暮らしていることは、それだけで、子どもたちに多大な貢献をしていることになるのです。もし母親が、父亡きあと、わびしく、引きこもりのような生活をしていれば、子どもたちの心も暗くなります。ついつい心配になって、「なんとか時間をつくって、お母さんの様子を見にいかなくちゃ」という気持ちにもなるでしょう。
母親が病気になれば「子どもの時間」を削ることに
母親が病気になったり介護が必要になったりすれば、たとえ施設に入ったとしても、子どもたちとて何もしないわけにはいきません。週末の休みごとに、また遠方に住んでいても月に一度くらいは、母親の顔を見に、お見舞いに行きたい──と、なるものです。
それが2ヵ月、3ヵ月のことならまだしも、1年、2年と長引き、まして「終わりの見えない」状況になることもあります。場合によっては、子どもたちの生活を大きく変えてしまうことになります。親の介護や看護のために、仕事を辞めなければならなくなることもありますし、結婚していれば自分の家族の生活にも、多かれ少なかれ犠牲を強いることにもなりかねません。
一方でもし、親の介護や看護をそこまでしなくて済むのであれば、その分、子どもたちは、自分の今、また将来にとって本当に必要なことのために、多くの時間や労力を割くこともできるのです。
現役世代の子どもたちにとって、「時は金なり」です。
みなさんが経済的に自立し、元気に、何不自由なくゆとりある生活を送り続けていることで、子どもさんたちは、「自分のための人生の時間」というかけがえのない財産を与えられることになるのです。
それは、お母様から子どもさんたちへの何よりありがたい「生前贈与」といえます、そしてひいては、これこそが、夫から子どもさんたちへの、「美田」に勝る最高の遺産だといえるのではないでしょうか。