「日本株高=円安」ひと段落後…過去類似局面との違い
ところで、2023年7月には「日本株高=円安」がひと段落したあと、米ドル/円は145円程度から137円台へ急反落に向かいました。これには、海外投資家の円売り一巡の影響があったと考えます。
一方今回は、先週にかけて日本株の一段高が広がるなかで円安はそれに追随せず、両者のかい離が目立ってきたという点が明確に異なっています。これは、円がすでにここ数年の最安値圏まで下落してきたことにより、さすがにさらなる下落余地は限られるとの判断から、海外投資家も為替損失回避の円売りを止めはじめているのではないでしょうか。
そもそもCFTC(米商品先物取引委員会)統計などを見る限り、海外の投機筋の米ドル買い・円売りには「行き過ぎ」懸念が強くなってきました。
2023年7月も、投機筋の円売り超しが12万枚程度で拡大が一巡した後に、上述のように米ドル/円は比較的大きく反落に向かいました。そして先週にかけて、投機筋の円売り超しは再び12万枚以上に拡大しました(図表4参照)。
米ドル買い・円売りの主導役の1つである海外投機筋の米ドル買い・円売りのひと段落が、米ドル高・円安の一巡、そして米ドル安・円高への動きを後押しすることになる可能性には注目です。
上述のように「日本株高=円安」は、最近にかけてかい離が目立ってきましたが、そもそも日本株自体、さすがに短期的な「上がり過ぎ」懸念も強くなってきています。そのようななか、このまま円安を置き去りにした形で日本株高だけが続くことにも自ずと限度があるのではないでしょうか。
日経平均の90日MA(移動平均線)かい離率はプラス10%を大きく上回り、経験的には短期的な「上がり過ぎ」懸念が強いことを示しています(図表5参照)。
日本に限らず、米国も含めて株価が短期的な「上がり過ぎ」の反動により下落に転じ、それが米国などの金利低下を後押しするようなら、日米金利差を通じて「米ドル高・円安」から「米ドル安・円高」に転換する可能性が高まることになるでしょう。