(※写真はイメージです/PIXTA)

厚生労働省の発表によると、国民年金保険料の納付率は77.7%。つまり「約5人に1人」は国民年金保険料を支払っていません(2022年9月時点)。この年金保険料、未納のまま放置すると、老後に年金を受け取れないだけでなく、もっと恐ろしいことが……牧野FP事務所の牧野寿和CFPが、事例をもとに詳しく解説します。

赤色の封筒が“最終通告”…未納→財産差し押さえまでの流れ

1.納付期限までに納付されない場合、「納付勧奨」を行う

日本年金機構は、国民年金保険料が期限までに納付されない場合、「納付勧奨」を行います。これは、保険料未納期間と金額を記載したはがき「国民年金未納保険料納付勧奨通知書(催告状)」や電話で、未納分を納付するように催促することです。

 

Aさんは再三にわたってこの納付勧奨をされていたにもかかわらず、収入が増えてからも「忙しくて面倒だから」とほったらかしていたそうです。

 

2.3種類の「特別催促状」と「督促状」が送付される

日本年金機構は、「控除後所得が300万円以上かつ7月以上保険料を滞納している未納者を強制徴収対象者と位置づけ、最終催告状の送付等の滞納処分を行う※」という施策を実施しています。

※ 厚生労働省「日本年金機構の令和4年度業務実績の評価について」より。

 

収入が上がり未納を続けるAさんも「強制徴収対象者」となったのでしょう。給付勧奨を無視していると、次に封書の色が青色、次に黄色、赤色(最終催告状)の順番で「特別催促状」が届きます。最終催告状に記載した指定期限までに未納の国民年金保険料を納付しないと、今度は督促状を送付されます。

 

3.財産の差し押さえ

督促状に記載された期限までに未納の保険料を納付しないと、「差押予告通知書」が届き、その後、財産が差し押さえられます。

 

差し押さえられる財産は銀行預貯金だけでなく、給与、自宅などの不動産、車、株券などです。

無視し続けると「延滞金」も支払うはめに

督促状で指定された期限までに未納保険料を納付すれば、延滞金は課せられません。

 

しかしそれ以降に納付すると、本来の納付期限の翌日から未納金を納付した日の前日まで日数分の延滞金も徴収されます。

 

通常、保険料の納付期限は2年でそれ以降は時効です。しかし、督促状が届くとそこで時効は中断します。中断後は、納付するまで延滞金額も増加していきます。延滞金は、年利3.8%~14.6%かかります

※ 延滞金の詳細は、日本年金機構「国民年金保険料の延滞金」を参照。

 

日本年金機構によると、令和5年9月末時点での最終催告状送付件数は10万8,091件。 督促状送付件数は5万2,849件、差押執行件数は1万3,243件となっています。

 

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※プライバシー保護の観点から、登場人物の情報を一部変更しています。

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