2024年、注目は“滞留資金”の行方
――足元では、どのような資産が注目されていますか。
荒磯「2023年12月に史上最高値を更新したゴールドに資金が流入しています。“有事の金”と言われるように、世の中が不安定なときは実物資産にお金を逃がし、資産を保全する動きがみられます」
——中国でも不動産が買いにくくなり、若者がゴールドを買っているというニュースがありましたね。金融商品の注目はありますか。
荒磯「[図表4]は、2023年のファンドごとの投資資金の流入を表したグラフです。2023年は、株式にも債券にも大きな資金が向かいませんでした。フローが集中したのは、短期の公社債などで運用する比較的安全性が高いマネー・マーケット・ファンド(MMF)でした」
――2022年は株式も債券も下落したことから、2023年は投資家がMMFに資産を移していたということでしょうか。
荒磯「はい。ただ、この先、市場で利下げが織り込まれてくると、MMFの利回りが大幅に下がる可能性があり、2024年のどこかでMMFの大量資金が別の資産へ移っていくことが十分考えられます。
もっとも可能性が高い移管先は、MMFとプロファイルが似ている信用力の高い債券だと思いますが、株式を含む成長資産にもプラスでしょう。金利低下の局面で、いろいろな資産を買うチャンスが出てくることが、2024年最大のポイントです。
一方、金が買われているように、相場のリスク回避の姿勢には根深い部分が感じられます。少なくとも2024年の上半期は、2023年よりも景気が減速しそうですから、『金利が低下する』という見通しがなければ、利益獲得が難しい相場が続きそうです。
むしろ、景気が下ぶれるくらいのほうが金利低下の確信が強まりやすく、ムードが一気に好転する可能性があるのではないかとみています。成長分野の企業や、高金利のインカムを活用して資産を守りつつ、相場のチャンスを見極めることが重要です」
――足元、MMFやゴールドなどに滞留資金が積み上がっている状況は、資産運用にとってむしろ好材料です。金利低下のスピードが早まれば、金融市場にもプラスとなり、株高を演出する材料となります。この点をうまく資産運用に生かしたいですね。
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