「バレないだろう」が大惨事に…年収600万円の51歳サラリーマン、税務調査で〈約3,000万円の追徴課税〉を受けたワケ【税理士が警告】

「バレないだろう」が大惨事に…年収600万円の51歳サラリーマン、税務調査で〈約3,000万円の追徴課税〉を受けたワケ【税理士が警告】
(※写真はイメージです/PIXTA)

最大税率55%と、相続税の負担が重いことで知られる日本。国外に目を向けると相続税がない国やほとんどかからない国も多く、そのため富裕層は「海外に資産を移しておけば節税できる」と考え、対策をとっている人も多くいました。しかし、近年国税庁はこうした「海外資産」にも目を光らせていると、多賀谷会計事務所の税理士でCFPの宮路幸人氏はいいます。事例をもとに、相続税申告の注意点をみていきましょう。

近年、国税庁は「海外資産」の把握を強化

世界には相続税がない国も

日本では、人が亡くなったときに最高55%の相続税がかかりますが、世界に目を向けると、カナダやシンガポール、オーストラリアなど相続税がない国もたくさんあります。また、相続税がかかる国でも、日本ほど相続税率が高い国はほとんどありません。

 

そのため、日本の富裕層は「相続税のない国に財産を移しておこう」と考え、あらかじめ海外に資産を移す動きが見られていました。

 

しかし、2011年2月に最高裁判決が出た「武富士事件」をきっかけに、国税庁によりこの動きに待ったがかけられたのです。

 

それまでは「受贈者の住所と贈与された財産どちらも海外にあれば、贈与税は課されない」となっていましたが、改正により海外に10年以上いないと海外財産にも課税することとなったのでした。

 

また、今回の事例のように、亡くなった人と相続人の住所が国内にある場合、日本国内にある財産だけではなく海外にある財産もすべて相続税の課税対象となります。

 

このほか、2014年に創設された「国外財産調書制度※1」をはじめ、2015年の「国外転出時課税制度※2」、2017年の海外非課税規定の見直し、2018年の「共通報告基準(CRS)に基づく自動的情報交換制度※3」導入など、「海外資産」に対する制度が次々と作られています。

 

※1 国外財産調書制度……海外に5,000万円以上財産のある人は、税務署へ報告する制度。

※2 国外転出時課税制度……「出国税」ともいう。1億円以上の有価証券を持つ個人が海外に移住する場合、所得税が課される制度。

※3 共通報告基準(CRS)に基づく自動的情報交換制度……日本人が海外で口座を開設すると、海外の税務当局から日本の税務当局に情報提供される制度。CRSとは“Common Reporting Standard”の略。

 

2022(令和4)年の国外財産調書の提出件数は1万2,494件、海外総財産額は5兆7,222億円と提出件数・総財産額とも過去最高で、令和4事務年度は日本居住者のCRS情報を約253万件(個人口座約250万件、法人口座約3万件、その額あわせて16.4兆円)を95ヵ国・地域の外国税務当局から受け取っており、税務当局は日本人の海外財産に目を光らせていることがわかります。

 

財産の所在国で相続税がかかった場合は…

国によって取り扱いが異なりますが、外貨預金がある場合その財産の“所在国”で相続税がかかる場合もあります。

 

この場合には、二重課税を防ぐため、日本で相続税の申告をする際は海外で払った相続税を「外国税額控除」として、一定額を日本の相続税から減額できます。

 

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