日銀関連の材料はときに“理論では説明がつかない”動きも
一方で、日銀関連の材料は、必ずしも相場の動きを論理的に説明できるものではないことも少なくありませんでした。たとえば、上述の植田総裁「チャレンジング発言」は、早期のマイナス金利解除要因と受け止められ円急騰をもたらしたとされましたが、その後行われた2023年12月の日銀金融政策決定会合でその可能性はすぐに否定されました。
そして2024年に入ると、能登半島地震の影響でマイナス金利解除は先送りされる可能性が出てきたとの見方が浮上しましたが、これもその後行われた金融政策決定会合で否定され、マイナス金利解除は3月ないし4月の金融政策決定会合で決まる可能性が高いといった見通しになりました。
以上のように見ると、日銀関連のイベントで為替相場が円高、円安に大きく動くことから、それを金融政策見通しに後付けるといった具合に、「すこぶる投機的な材料」として扱われているというのが実態ではないでしょうか。その点は、今回の内田副総裁発言への反応でも同じだった可能性がありそうです。
内田副総裁の発言で、円売り材料とされたのは、「(マイナス金利解除後も)どんどん利上げをしていくようなパスは考えにくい」との部分と見られました。
これが市場において未だ織り込まれていないことだったら、本来は円金利が大きく下がりそうですが、日本の長期金利の10年債利回り、そして金融政策を反映する2年債利回りは、ともに8日も下げ渋り、翌9日は小幅ながら反発しました(図表2参照)。
BOJウォッチャー(日銀の金融政策分析の専門家)のなかでは、そもそもマイナス金利は解除するものの、日本政府の巨額の債務残高を考えると、利払いの増加につながる、ゼロ金利解除以降の“実質的な利上げ”はまだまだ難しそうとの見方が基本でした。
そういった彼らからすると、今回の内田副総裁の発言は織り込み済みのものだったでしょう。そしてそうであれば、今回円金利が低下しなかったのもなんら違和感はありません。
円金利は低下しなかったものの、米ドル高・円安に振れたということは事実です。であれば、それはマイナス金利解除後のさらなる利上げ見通しの後退とは別な反応と考えるのが自然でしょう。
すなわち、ボラティリティ(値動き)が高くなりやすい日銀関連のイベントをきっかけに、米ドル/円がこの間の小動きのレンジを上放れたという「テクニカルな要因の影響」が大きかったということでしょう。
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