終身雇用制度が生産性を落とす一因になっている
終身雇用制度のマイナス面について指摘すると、仮に生涯の年収平均が500万円だとして、40年間雇い続けるとなると、それは1人あたり2億円の設備投資であり、同期が100人いたら、それだけで200億円の設備投資を行っているのと同じ意味を持ちます。
しかも終身雇用ですから、その投資がうまくいかなかったとしても、簡単にリプレースすることができません。
米国だと雇用者側に「right to fire(解雇する権利)」があるので、正社員でも簡単にリプレースできるのですが、日本の場合、全員を抱えたまま、誰一人として取り残さないようにしているだけに、結果としてそれが生産性を落とす要因になっているのです。
この点からも、終身雇用制度の抜本的な見直しは、日本企業全体にとって大きな課題と言えるでしょう。
日本では長らく、「失業率の上昇は悪」と考えられてきました。何しろ終身雇用を徹底的に死守してきた国です。年功序列賃金や終身雇用といった「日本的雇用慣行」は、徐々に薄らいでいるものの、それでも大企業だと、いまだに終身雇用制を維持しているところもあります。
世界の現代史をひも解くと、だいたい失業率が10%に近づくと、何らかの改革が起きるようです。「仕事がなくて生活が苦しいのは国の無策のせいだ」という考えから政治的な無関心が減り、社会的な問題意識が喚起されるからでしょう。
しかし、失業率の一時的な高まりは、むしろプラスの面もあるということを、忘れてはいけません。もちろん高い失業率が持続するのは問題ですが、一時的な高まりであれば、人材という資源を再配分するのに役立つからです。
日本が抱えている大きな問題のひとつは、労働や資本の最適再配分がなされていないことです。
日本にはまだまだたくさんの金融資産があり、かつ人材の質だって決して諸外国に負けていません。そうであるにもかかわらず、しっかりとしたアウトプットが出せていないのは、必要なところに必要な資源が配分されていないからです。終身雇用制度などというのは、その典型的なケースと言ってもいいでしょう。
たとえば、多くの大企業で経営幹部になる人は、何歳の時点で選抜されているかご存じでしょうか。30代です。つまり30代の時点で、すでに経営幹部になれるかどうかが決まっているのです。
しかし、「君は将来の経営幹部だ。頑張ってくれ」などと、本人が30代のうちに知らされることはありません。
そのため、40代後半から50歳前後で部長に昇進した人のなかには、「自分も経営幹部になれるかも」といった淡い期待を抱きながら50代半ばになり、いきなり役職定年を突き付けられてしまうのです。
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