面会交流を拒否された場合の対処法
面会交流の請求に対して、同居している親が拒否してきた場合は、前述したとおり、話し合い、また調停や審判の場で双方の主張を判断することになります。ここでは、面会交流の取り決め後に、拒否してきた場合の対処法を説明します。
子どもが拒否してきた場合
まずは、会いたくない理由を確認します。
というのも、本当に子ども自身がそのように感じているのか、場合によっては同居している親が関わっている場合なども考えられるからです。子どもの本音なのかを把握するためには、カウンセリングなど第3者機関の利用も選択肢のひとつといえます。
裁判所においては、子どもの意思はその成熟度によって反映され、小学校高学年あたりから考慮されるようです。
会いたくないという子どもの意思が明確であれば、面会交流の取り決めを変えることも検討する必要があります。具体的には、双方で話し合い、もしくは再度面会交流調停の申し立てを行って、面会交流の制限を決める流れとなります。
間接強制で強制執行を申し立てる
事前に面会交流の具体的内容を取り決めているにもかかわらず、理由もなく同居している親が面会を拒否している場合には、「間接強制」という手段を取ることが考えられます。
「間接強制」とは、債務を履行しない債務者に対し、一定期間内に債務を履行しなければ債務とは別に間接強制金を課すことを裁判所が警告することで義務者に心理的圧迫を加え、自発的な履行を促すという方法です。
裁判所が、同居している親を引っ張って子どもとともに連れてくるわけにはいかないので、「間接強制金」(同居親の経済状況によって金額が変わりますが1回あたり平均3~10万円程度)を課して、面会交流の実施を促します。
ただし、この手段は面会交流の日時、頻度、長さおよび方法等が十分具体的に決まっている場合のみです。ただ「月1回程度の面会交流」としか決めていなければ、「間接強制」は使えません。相手方がすべき給付の特定に欠けるところがないといえる必要があります。
最終手段として親権者・監護権者の変更を求める
何度も制裁金を課されてもその支払いを続け、依然として子どもに会わせてくれないといった場合には、最終手段として子どもの「親権者・監護権者」の変更を求める調停を申し立てる方法があります。
つまり、子どもの権利でもある「面会交流」を理由なく拒否していることは、「親権者・監護権者」として適格ではないと主張するのです。注意すべきは、拒否された場合の経緯や様子などを詳細に記録しておくことです。「拒否され続けた」だけでは不十分です。
「適格性に欠ける」ことを裏付ける資料を準備します。具体的には、こちら側の要求に対して、たとえば無断での欠席なのか、子どもが病気という理由ばかりなのか、説明もなく通知だけなのかなど、相手側の態度を記録する必要があります。
「面会交流」は子どもにとって、自分自身のルーツである「親」を知る機会といえます。子どもが健全に育つためにも、父母双方の協力関係が必要となります。
面会交流が難しい状況であれば、第3者機関の助けを借りたり、弁護士などの専門家へ相談することをおすすめします。双方がこれまでの関係性を切り替えて、子どものために最善の方法を考えることこそ、面会交流に向けての第1歩といえるでしょう。
白谷 英恵
Authense法律事務所
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