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医学部受験の最終関門、「面接」
試験本番を目前に、いま多くの医学部受験生が最後の追い込みを行っていることでしょう。ただし、受験生がやりがちな勉強や行動の中には、実は合格可能性を自らガクッと下げてしまう「NG行為」が少なくありません。前回記事では、勉強・行動に着目して受験生がやりがちなNG行為を10個紹介しました(⇒関連記事:『医学部受験のプロが警鐘…合格可能性がガクッと下がる「実はNGな行為」10選【勉強・行動編】』)。
ただし、医学部受験は学科試験に通るだけでは合格を勝ち取れません。本稿では医学部受験の最終関門ともいえる「面接試験」に着目し、合格可能性を左右する「実はNGな行為」を紹介します。
これだけはするな!面接試験でのNG行為
【NG】練習をしない
⇒面接官には、医学部のベテラン教授や精神科の教員、小児科の教員をはじめとする「医療のプロ」が待ち構えており、表情や仕草、声の変化など隅々まで観察されます。小手先の準備で立ち向かうのはほとんど無謀と言ってよいでしょう。
実際、筆者が医学部専門予備校で面接練習をすると、「あなたが医師を志望する理由は?」というような基本的な質問にも答えられない生徒が一定数います。もちろん受験生たちのなかに答えがないわけではないのですが、言語化が難しいのです。
話したことのない年上の面接官が2~3人いる状況で、緊張した受験生の精神状態では、突拍子もないことを話してしまう、面接というよりも議論を始めてしまう…といったことは当然のように起こります。
ほとんどがアルバイトなども未経験で、社会に出たことのない生徒たちです。『普通に』やったらうまく話せなくなってしまうので、面接の場である程度きちんと答えられるように練習しておくことが重要です。
【NG】「何気ない癖、仕草」で印象ダウン
⇒面接で勝利するために必要なのは、とにかく慣れること。そして、面接時の自分が他人からどう見えているのかをよく理解することです。
例えば、自分ではきちんと受け答えしているつもりでもボソボソ話しているように聞こえたり、目が泳いでいたり、表情に動揺が現れていたり、声が小さかったりなど、ふとした仕草で面接官の印象を下げてしまうケースは珍しくありません。
多くの場合、言葉遣いや表情などの印象面で修正すべき点は、誰かが指摘すれば「なんだ、そんなことか!」と拍子抜けするようなポイントばかりです。
模擬面接の様子を録画し、自分自身で見返してみるとこれらの弱点は一目瞭然です。面接対策の一環として、録画で自らの弱点を把握し、その上で声の張り方や表情の作り方などを研究することをお勧めします。
【NG】知ったかぶりでごまかす、奇をてらった回答をする
⇒受験生の中には、合格したいがあまり、自分を印象づけようと奇をてらった回答をしたり、知らないニュースについて問われても知ったかぶりでごまかしたりするケースがあります。これは面接試験を突破できない受験生にみられる「悪い癖」とも言えます。
奇をてらった回答をしようとした結果、面接官をドン引きさせてしまったり、聞きかじりと想像で的外れな回答をしたことで、むしろ面接官に良くない印象を残してしまうケースは少なくありません。
面接官は受験生の「誠実さ」や「真面目さ」を見ています。知らないニュース等を問われた場合は、素直に「不勉強で申し訳ありません、存じ上げません」と回答したほうが好印象です。大学側が求める学生像を踏まえたうえで、取り繕うことなく正直に答えましょう。
【NG】志望大学のアドミッション・ポリシーを読んでいない
⇒面接では、どうして医師になりたいのか、どんな医師になりたいかといった質問が、ほぼ必ず聞かれます。自分なりの答えがあるなら、それを中心に組み立てることが基本となりますが、さらに評点を挙げるためには、大学が掲げている入学者受け入れ方針(アドミッション・ポリシー)を事前によく学んでおきましょう。
各大学のアドミッション・ポリシーは、「医師に相応しい人材」という点では当然、多くの部分で共通しています。その一方で、細かく調べると大学ごとに細かな表現やニュアンスが異なっていることに気がつくはずです。事前にホームページなどでよく確認し、面接ではその内容をベースにした受け答えができるよう準備しておきましょう。
ちなみに、全国の大学医学部教官、医学部学生および受験生にアンケート調査した結果から、医学部に進学を希望する生徒に望まれる資質として必要度が高い項目は、次の10項目になります。つまり、多くの大学のアドミッション・ポリシーには、このような内容が含まれているといえます。
●不明なこと、理解できないことは納得するまで追究する(探究心)
●他人と協力しながら作業を進めることができる(協調性)
●成果をあせらず、地道な勉強を積み重ねることができる(持続力)
●奉仕的精神を持って、人間や社会に働きかける(福祉的態度)
●自分の欠点を自覚し、常に改善の努力を続ける(謙虚さ・真面目さ)
●物事を筋道立てて論理的に考察することができる(論理的思考力)
●自分の考えを他人にわかりやすく話すことができる(自己表現力)
●人の心のメカニズムについて関心がある(人間心理)
●人間性・良識を身に付けようとしている(人間性・良識)
●生物のしくみや生態について関心がある(生物への関心)
実際の面接対策では、講師とともに各項目をより細かく噛み砕き、それぞれに相応しいエピソードを用意しておく、といった準備が必要になります。
さいごに
医学部入試における面接試験の重要性は年々高まっています。医療は命に係る仕事だからこそ、大学側は医師にふさわしい人格者を選びたいと考えており、大学の受験担当者の中には「うちの大学の二次試験では、学科と面接のウェイトがひっくり返る」と公言する人もいるほどです。面接試験の配点が増加する傾向は国公立大学で急速に高まっており、学科試験と面接試験の配点割合を見ると、3分の1以上が面接に配分されている例も散見されます。
今後は国公立か私立かを問わず、「面接で落ちる」というケースが増えてくると考えられます。
医学部に合格する学力をつけることは、誤解を恐れずに言えば、そこまで難しいことではありません。「正解」があることをやっているからです。
一方、小論文・面接は「正解」が一つではありません。
特に最近では面接でMMI(Multiple Mini Interview)を取り入れている大学も増えいます。
最後の最後で自分の意図と異なる失敗をしないよう、「正解」が一つではない小論文・面接試験の準備にも、しっかり時間を割きたいところです。
亀井 孝祥
医学部受験専門予備校メディカ 代表、数学講師
愛知・東海高校から東京理科大学へ。塾講師を経て医学部受験予備校YMSにて数学科主任、教学部長など9年務めたあと、姉妹校設立のため独立。姉妹校提携解消後、医学部受験専門予備校メディカを設立。現在に至る。
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