「うちの子、医学部に入れるでしょうか?」…偏差値40から「医学部に受かる子、受からない子」の本当の差【医学部受験のプロが解説】

「うちの子、医学部に入れるでしょうか?」…偏差値40から「医学部に受かる子、受からない子」の本当の差【医学部受験のプロが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

意外に思われるかもしれませんが、「偏差値いくらから受験勉強を始めたか」は、世間が思うほど合否には直結しません。受験勉強スタート時の偏差値よりも、もっと重要な要素があるのです。1年後の合否を分けるポイントとは? 医学部受験専門予備校メディカ代表・亀井孝祥氏が解説します。

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「偏差値40から医学部」は望み薄か?

「うちの子、偏差値40なんです。医学部に入れるでしょうか?」

 

これは保護者の方からたびたび聞かれる質問です。医学部人気は高止まりし、いまや国公立も私立も難易度の差はありません。合格するには偏差値65以上が必要と言われたり、最終模試で偏差値70・A判定が出ていたのに落ちたという話を聞いたりもします。このような情報から、上記の質問が出てくるのでしょう。

 

意外に思われるかもしれませんが、「偏差値いくらから受験勉強を始めたか」は、世間が思うほど合否には直結しません。受験勉強スタート時の偏差値よりも、もっと重要な要素があるのです。

 

本稿では、医学部合格を掴むうえで押さえておくべきポイントを紹介します。現役生か高卒生かを問わず、「来年の医学部受験」を検討している方のご参考になれば幸いです。

偏差値よりも「意志」が重要

実は、受験勉強開始時点の成績よりも、「意志」のほうが重要です。勉強は「積み上げ」だからです。

 

たとえば「高校時代は部活に打ち込んでいて、勉強はあまりしてこなくて…。」という生徒でも、医師になりたいという強い気持ちがあれば、パッと受験モードに切り換わり、勉強を積み上げていくことができます。部活で培ったガッツと根性は、受験勉強を続けるための力になるでしょう。1~2年ほど勉強に集中すれば伸びる印象があります。

 

「努力を怠らなければ夢は叶う」といわれますが、それだけでは足りません。「努力を継続し、諦めないこと」も重要です。受験本番までの長い期間のなか、モチベーションを高く持ち続けるには、「自分がなぜ医師になりたいのか」という意志の明確化が大切です。

 

「うちの子、医学部へ入れるだろうか?」と不安に思う場合は、わが子が「絶対医学部に入りたい!」という強い意志を持っているか、なぜ医学部に行きたいのかの問いに対して理論的にしっかりと答えられるかどうかを確認するとよいでしょう。明確な目的意識を持って1年間頑張れるかを見極めることが大切です。

 

また、プロと一緒に学習計画を立てることも重要です。勉強に限らずスポーツでも何でも、我流では限界があります。どのタイミングでどのような勉強をするか、プロのアドバイスとコーチングを受けることでムダなく伸びていきます。

 

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「来年の医学部受験」で勝つための勉強のポイント

今日から始めれば、来年受験への準備期間は約1年間もあります。まさに余裕たっぷりですね。ここからは勉強を積み重ねるためのポイントを4つ紹介します。

 

いずれも、合格を逃してしまう子がハマりがちな「落とし穴」や、失敗要因を踏まえた内容です。高卒生の場合は、これまでの受験勉強で改善するべき課題は何か、振り返るポイントとして押さえるとよいでしょう。下記4つのポイントから具体的な改善策が見つかれば、次回は楽勝です。

 

【ポイント①】「間違った勉強法」では伸びない

成績が上がらないと悩む受験生は多くいます。学力が伸び悩んでいる、頭打ちしていると感じた場合は、それまでの勉強法がどんなものだったか思い出してみましょう。苦手な問題をあえて避けてはいませんでしたか? 計算練習は毎日行いましたか? 単語・イディオムは自信がありますか? 高分子化合物は完璧ですか? 試験で点数が取れなかった問題を洗い出してみると、自分の苦手分野が見えてきます。それらの分野の問題を繰り返し解いていけば、おのずと実力が付き、得点は上がってきます。

 

【ポイント②】根本的な弱点を把握する

合格を逃した受験生には、間違いなく科目ごとの「穴」があります。受験成功への効率的な道は、一つずつ丁寧に「穴」を埋めていくこと、これに尽きます。自分には何が欠けているかを明確にしましょう。そのためには頻繁にテストを繰り返すことです。自分自身の弱点を根本的に克服することこそが合格への近道です。

 

勉強内容だけでなく、学習計画の立て方や学校や家での過ごし方など、「時間の管理」も含めて考えてみましょう。スマホに夢中になったり、だらだらと食事をしたり、睡眠時間が毎日異なるなど、生活リズムが乱れていませんか? また、1日の中で隙間時間をうまく使えていますか? 失敗する人はよく「時間がない」を口実にしますが、それは理由になりません。1日が24時間しかないのは、いまに始まったことではありませんから。

 

時間は「ある」とか「ない」とかではなく、「つくる」ものです。誤解を恐れず言えば、受験勉強しかしなくてよい受験生に「時間がない」はありえません。あくまでも私の経験からですが、「時間がない」という受験生に限って、時間があるときに大したことはしていません。だから落ちてしまうのです。

 

【ポイント③】やみくもに勉強しても意味はない

1日にこなす学習量を自分のキャパ以上にテンコ盛りにして、自己満足していませんか? やみくもな学習計画は命取りです。「広範囲に、たくさん」という考え方では効率よく知識を習得できません。自分のこなせる学習量に合わせて、苦手な科目・分野を重点的に、いつまでに何巡するかを意識して、学習スケジュールを組みましょう。勉強は量より質です。
 

【ポイント④】問題集は1冊で十分

何冊もの問題集を次々と解いていくのは素晴らしい作業ですが、間違えた問題を間違えたまま放置することは、もっとも悪しき習慣です。一つひとつの問題について深いところまで理解し、頭に叩き込むためには、核となる問題集は1冊で十分です。1冊の問題集にいろいろ書き込んだり、何度も繰り返し解いたりしていくことで広範囲の知識が身につきますし、自分の苦手分野にも気づきやすいものです。不正解の問題にマーキングしていくと、不思議なことに自分の不得意とする傾向がくっきり見えてきます。

「わが子の努力を信じること」が合格の力になる

最近の受験生は、親世代と比較してナーヴァスな印象を受けます。「落ちるかも」など、他人から不安になることを伝えられると、それが暗示になり、士気が下がる原因になってしまうのです。

 

「必ず合格できるよ!」とエールを送れば、お子さんも期待に応えたいという気持ちが強くなり、より勉学に励めるというものです。

 

本来なら友達と遊んだり、部活に打ち込んだりと楽しいことばかりの青春時代に、勉強一辺倒の日々を送らなければならないのは辛いことです。この貴重な時間を犠牲にしてまで挑戦する医学部受験は、価値のある大業だと思います。挑戦すること自体を褒め続けてあげてください。

 

 

亀井 孝祥

医学部受験専門予備校メディカ 代表、数学講師

 

愛知・東海高校から東京理科大学へ。塾講師を経て医学部受験予備校YMSにて数学科主任、教学部長など9年務めたあと、姉妹校設立のため独立。姉妹校提携解消後、医学部受験専門予備校メディカを設立。現在に至る。

 

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本記事は、医学部受験サクセスガイド『集中メディカ』ホームページのコラムを抜粋、一部改変したものです。

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