人柄にほれて入社のはずが…社長の“裏人格”の落とし穴
「面接時はあんなに良い人だったのに、いや、参りました」
筆者は先日、サービス系中堅会社の執行役員として転職したCさん(48歳)からこんなため息交じりの相談を受けました。
「面接ではパワーポイントを使っての経営戦略説明までしてくれて、ビジョンも明確。戦略的に事業を推進していくトップに共鳴したので入社しました。それが、いざ入社してみると、24時間365日、夜中や週末でも社長自身のタイミングで電話がかかってきて、『あれはどうなっている?』『あの商談はまだ決まらないのか?』『今月、絶対にあと●●万円受注を上乗せしろ』など、細かい確認や無理な指示が出続けるんです。なんとか1年は付き合ってきましたが、さすがにこれ以上はメンタルが持ちません」
実はオーナー系・ベンチャー系を中心にもっとも多く起きている「こんなはずじゃなかった」パターンが、入社してみたらパワハラ社長、パワハラ担当役員だったというケースです。
多くの優秀な社長、とくにオーナー系社長や創業社長というものは、表の姿と裏の姿がほとんど変わらないものです。しかし実際にCさんが遭遇したケースのように、顧客やメディアといった外部関係者への態度と社員への態度がまったく異なる、外面はとても良いのに、内部では暴君のような人もいます。
エグゼクティブ層は社長や役員の直下もしくは非常に近い立場で働きますから、転職先の社長や役員のキャラクターは極めて重要です。転職活動時もこの点を重視して、話を聞いている人も多いでしょう。それでも、このような社長に当たってしまって入社後に大変な思いをする例は少なくありません。
未然の防止策としては、直接の印象以外に社員からの情報を複数得ることです。
前任者が退職し、補充者を採用する際は、可能な限り前任者の退職理由なども入手して確認してみることをおすすめします。
確実性が高い確認の方法は、その社長や役員を知る外部の複数人に人物の印象を聞いてみることです。ネガティブな印象でなくても、聞く人によって人物評が異なっていることが多い場合は要注意です。
裏表のない人については社内外の誰もが基本的に同じ印象を抱くものですが、「外では善人、中では暴君」のような人は、場によってキャラクターを使い分けていることが多いようです。
さて、応募先企業の社長のレビューはいかがでしょうか。
エグゼクティブ転職の「入社してみて、こんなはずではなかった」は、職務内容そのものの食い違いよりも、トップとの相性、会社の意思決定スタイル、会社のカルチャーなどに起因するケースが大半です。
ハードの条件面だけでなく、レポートラインや管轄する部署のメンバー、同僚幹部なども含めての相性チェックを入念に行うよう努めましょう。お互い気持ち良く働くためにも、ぜひ心がけてほしいチェックポイントです。
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