組織には、新しいものを生み出す「イノベーションの段階」と、生み出されたものを効率よく運用する「オペレーションの段階」があります。
ヒエラルキー組織は、オペレーションに適した組織形態で、業績が安定した大企業に向いています。経済成長期が長く続いたことで、中小企業でもヒエラルキー型が定着しましたが、外部環境の変化が激しい時代には向いていない組織形態であり、イノベーションの足かせになります。
中小企業には、変化する状況に応じ、変幻自在に変わることができる柔軟な組織が求められます。
“プロジェクトチーム”で人材の流動性を高める
中小企業でイノベーションを実現するためには、限られた人材でトライアンドエラー(たくさん試して、上手くいく方法を探る)に耐えられる、柔軟な組織をつくる必要があります。そのためにはプロジェクトチーム(以下、PT)をつくる技術が求められます。
イノベーションの段階にいるとしても、オペレーションがなくなるわけではありません。ほとんどの社員はオペレーションに就いているはずです。
人材にゆとりがない中小企業では、イノベーション専用の人材を採用し、特命チームをつくる余裕はありません。日々の業務を回しながらイノベーションに挑戦しなければなりません。
そこで、部署を超えた有志でPTを結成するという方法が有効です。イノベーションと言うと大上段に構えてしまいますが、小さなプロジェクトで構いません。
結成の手続きが非常に重要です。失敗するPTの典型は、メンバーを選考し、集めてからゼロベースでやることを決めるというスタイルです。これまで私は、様々なプロジェクトに関わってきましたが、この方法で上手くいった試しはありません。
良いメンバーが集まっても、そこで決まったことは、みんなが60%の熱意しか持てないのです。
優れたPTは、アイデアを持った熱量の高い1人のもとに立候補制で人が集まり結成されます。誰か1人が面白いことを言い出して、そこに共感した人が集うのです。キャンドルリレーのように、1人の炎(熱量)が周りに伝播していくのです。
PTは途中で頓挫したり、失敗に終わることもありますが、それで「ジ・エンド」ではなく、何度も挑戦することができます。
PTが自然発生する組織になれば、社員を消費しなくても流動性の高い組織になり、出世以外の新しい希望を持つようになります。
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