金はインフレでも価値が目減りしない!?
金(ゴールド)もインフレに強い資産といわれています。それは金が現物資産だからです。金を購入すると、現物を手にすることができます。金は投資対象であると同時に、パソコンや携帯電話などさまざまなモノに使われています。
物価が上昇すると、これらの商品の価格も上昇しますから、そこに使われている金の価格も上昇します。よってインフレでも価値が目減りしないのです。また、金は世界中で宝飾品として好まれています。景気がよくなると宝飾品を買う人も増えて、金の価格が上昇するということもあります。
金のような現物資産は危機に強いのもメリットです。株式や債券などはペーパー資産といわれ、危機の際には、価値が大きく下がってしまう可能性があるのです。仮に発行元の企業などが破綻してしまえば、紙くずになってしまいます。
その点、現物資産は価値が下がる可能性はあっても、ゼロになるリスクはありません。金は、いざというとき、世界中のどこででも換金が可能です。そういう意味では安心して保有できる資産ということができるでしょう。
保有しているだけでは収益を生まない
問題は、金の現物を保有しているだけでは、収益を生まないということです。預金であれば、金利が付きますし、株式には配当や株主優待があります。現在のような低金利では、金利はわずかなものですし、株式の配当もそれほど高くはありません。しかし、保有している限りは、多少なりとも収益が得られるのです。
ところが金を保有していても、金利や配当はまったく得られません。金庫の中でただ眠っている資産になってしまいます。もちろん、金相場は常に変動していますから、買ったときよりも値上がりすれば、利益を得ることもできます。しかし、いくら値上がりしても、売却するまでは利益は得られませんので、継続的に収益を得ていくのは困難です。とはいえ、金自体に価値はありますから、いざというときには、世界中で換金することができます。
このように、金は資産保全に優れた資産ですが、問題は安定的な資産運用には向いていないことです。金の現物を持っていても、まったく収益は得られません。金の価格が上昇すれば、利益が得られますが、そうでなければ、リターンは得られないのです。やはり、金の保有は、資産運用の手段ではなく、資産保全のための手段だと考えたほうがよいでしょう。
また、金の価格は為替相場の影響も大きく受けます。図は、円建ての金価格とドル建ての金価格を比較したものです。2013年以降、ドル建ての金価格は下落傾向にありますが、円建ての金価格は横ばい、あるいは上昇傾向にあります。
2013年以降はアベノミクスによって、円相場が急激に円安になりました。円安になると、円建ての金価格は上昇圧力を受けるため、このような値動きになっているのです。金価格そのものの値動きとともに為替相場の動きにも影響されるので、将来の相場を見極めるのはなかなか困難です。
【図表】円建ての金価格とドル建ての金価格