リスクの軽減に有効な分散投資だが・・・
値動きの異なる複数商品を扱う重要性価格変動がある商品では、利益が得られるときもあれば、損失を被るときもあります。そのブレをできるだけ排除して、安定的なリターンを狙うには分散投資が有効です。
分散投資の考え方は「ひとつのかごに卵を盛るな!」ということです。たくさんの卵を同じかごに入れておくと、そのかごを落としてしまったときに卵がすべて割れてしまいます。複数のかごに卵を分けておけば、他のかごに入れた卵は割れずに済みます。これが分散投資の効果です。
実際に分散投資を行う際には、値動きのまったく異なるものに分散することが大事です。たとえば、株式投資でA銘柄とB銘柄に分散しても、あまり効果は得られません。すべての資金をA銘柄だけに投資した場合と比較すれば、一定の分散効果は期待できますが、株式市場全体が下がるときには、A銘柄もB銘柄も同時に下がってしまう可能性があります。
そこで株式と債券など、値動きのまったく異なるものに分散投資をしておけば、価格の変動を抑える効果が期待できます。株式市場が下落して損失が出ても、債券市場が上昇して利益が得られるので、損失をある程度、相殺することができるのです。
ただ、金融危機が起こったときなどには、分散投資の効果が得られないこともあります。2008年のリーマンショックの際には、株式も債券もすべての資産が同時に値下がりしました。分散投資も万能ではないことは理解しておかなければいけません。
投資地域、タイミングを分散した投資には時間が必要
また、分散投資を効果的に行うためには、投資対象だけでなく、投資地域や時間の分散をすることも重要です。国内外、先進国と新興国など、投資をする国や地域を分けたり、一度に投資をするのではなく、タイミングを分散して投資をすることです。
すべての資金を一度に投資してしまうと、ちょうど価格が高いときに買ってしまうかもしれません。そこで10回に分けて購入すれば、高いときもあれば安いときもあるので、購入価格を平均化できるのです。
このように分散投資は実践の仕方によっては、大きな効果を発揮する方法といえますが、日ごろ忙しいサラリーマンには、投資のために多くの時間を割くのは簡単ではありません。人生に必要な資金を確保するために資産運用は必須ですが、そのために本業が脅かされるようでは本末転倒です。実際に効果的な分散投資を実践しようとすると、自分でいろいろ勉強しなければなりません。忙しいサラリーマンほど実践するのは難しいのです。
【図表】分散投資の効果
知識・経験の乏しい素人は、投資詐欺に特に注意
株式投資などでは詐欺にだまされる人も後を絶ちません。先日も60~80代の男女3人が未公開株の購入を持ち掛けられ、約1億6000万円をだまし取られる詐欺がありました。株式市場に上場する前の未公開株は、上場する際に大きく値上がりする銘柄もあるため、「今投資をすれば大儲けできる可能性がある」などと勧誘し、お金をだまし取ったのです。
3人で1億6000万円ということは、単純に計算すると、1人当たり5000万円を超えてしまいます。もしかすると、蓄えていた老後資金をほとんど奪われてしまったかもしれません。それまで経験のないものや知識のないものに投資をしようとすると、このようなリスクも生じやすいのです。