ぜひ整備を!節税効果が大きい「出張手当」
4.出張手当
黒「営業などのため宿泊を伴う出張が多い会社の場合、『出張旅費規定』を作成し、出張手当の制度を整えることで節税につながります。これは、会社にとっても従業員にとってもメリットが大きいので、ぜひ整備することをおすすめします」
――そうなんですね! どういった点が節税になるんでしょうか。
黒「『出張旅費規程』に基づいて決まった額を『出張手当』として支給した場合、全額を会社の業務上必要な経費として計上できます。
従業員の側でも、旅費の実費ではなく決まった額が出張旅費規程に則って支給されるため、旅費を節約すれば実質的に手取り額が増えます。しかも、その分は給与所得として扱われないため、所得税がかかりません」
――給与でないということは、社会保険料もかからないんですね。
黒「はい。出張手当の制度を整えることは、会社にとっても従業員にとってもプラスになります。『出張旅費規程』については、ネット上に多くのひな形が出回っているので、そちらを活用してみてください。
ただし、出張手当の金額は、『社会通念上相当な範囲内』に設定する必要があるためお気をつけください」
――上記[図表2]中では日当1万円に設定してありますが、実際にはいくらぐらいの日当が多いですか。
黒「そうですね。実際社長であれば5,000円~1万円、従業員は3,000円~5,000円くらいが多いです」
――この制度を利用するうえでの注意点はありますか?
黒「税務調査では、出張の記録を求められることが多いです。そのため、調査が入った場合に備えて、出張の都度、記録をきちんと残すようにしてください」
5.社員旅行・研修旅行
黒「コロナが落ち着いてきたということもあり、最近は検討する会社が増えてきましたね。社員旅行は、次の4つを満たした場合に、かかった費用を経費にすることができます。
1.旅行の期間が4泊5日以内であること
2.旅行に参加した人数が全体の人数の50%以上であること
3.欠席者に現金支給を行わないこと
4.少額であること
――4つ目の「少額」というのは、具体的にはいくらくらいですか?
黒「一般的には、1人あたり10万円ぐらいまでといわれています」
――10万円というと、けっこういい旅行ができますね! 研修旅行にも適用できますか?
黒「はい。業務のために必要な研修であれば、給与課税されることはありません。
ただし、税務調査の際に『私的な旅行ではないか』などと探られることがあります。疑われないよう、研修資料や日程表などの資料を整備して、あくまでも研修の実態があることを示せるようにしておいてください」
――なるほど。これはたとえば、「1日目を研修で、2日目は自由解散」というスケジュールでも問題ないですか?
黒「それは可能だと思います」
――以上、福利厚生で節税できる5項目を解説していただきました。いやあ、結構たくさんあるんですね。
黒「はい、最近は会社によって本当にさまざまな福利厚生があるので、ぜひ他の会社の福利厚生を調べてみてほしいと思います。今回紹介した項目は、結果的に手取りが増えることに繋がりますので、うまく活用してほしいです」
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