(※写真はイメージです/PIXTA)

「投資するなら米国株一択」と主張する個人投資家は少なくありませんが、日本株に投資して大きな利益を得ている人がいるのも確かです。本記事では、『月41万円の“不労所得”をもらう億リーマンが教える 「爆配当」株投資』(KADOKAWA)から、著者の〈なのなの氏〉が「日本株は投資する価値アリ」と考える理由について解説します。

“日本株は投資する価値アリ”と考える「3つの理由」

最近明るい兆しが見え始めているものの、バブル崩壊後、日本経済は長期間にわたって低迷を続けてきました。


景気の波はあるにしても基本右肩上がりで成長を続けてきたアメリカと比べて、バブル崩壊後32年間の株価パフォーマンスは大きく差がついています。

 

例えば、下の図表1に示すように、1991年から2022年のNYダウピーク時までの株価指数を比較すると、NYダウの約13倍に対して、日経平均は約1.3倍にとどまり、10倍以上の差が生じていました(図表1は2022年7月までのグラフですが、2023年7時点の株価指数で比較すると、日経平均:144、NYダウ:1225と、8.5倍程度の差となっています)。

 

[図表1]日経平均とNYダウの30年間株価比較

 

年間の株価推移では圧倒的な差がある中、私がアメリカ株より多くの日本株をポートフォリオに組み入れている理由についてお話しいたします。

 

(1)日本の「地の利」を活かすことができる

日本株に多く投資している理由としてまず、普段日本に住み、日本語を使っていることから、①肌感覚で企業の状況を理解することができる②企業が発信する情報を日本語で理解することができる③為替リスクがないなど日本の地の利を大きく活かせることが挙げられます。


日本企業であれば、近所の店舗に行ってみたり、日本で売っている商品を使ってみたりして、その会社の株を買っていいかどうか判断することができます。


例えば、コロナ禍のとき、近所の「ケンタッキーフライドチキン」《日本KFCホールディングス(9873)》や、家系ラーメンの「町田商店」《ギフトホールディングス(9279)》に足を運び、「他の飲食店が大ダメージを受けている中でも、お客は十分入っているな。店舗運営は効率化されており、味も美味しく、買いの検討をしてみようか」と考えることができます。


一方、アメリカ企業の場合、日本に店舗がなかったり、日本で製品が販売されていなかったりすることが多く、肌感覚で会社の状況を理解することができません。


例えば、アメリカを中心に2000店舗以上展開する大手ベーカリー&カフェのパネラ・ブレッドは、日本では出店されておらず、お店に足を運んで商品を食べたり、店舗の雰囲気を感じとったりすることはできません。


また、日本企業の場合、日本語で書かれたIR資料を読み、外国人では理解が難しいであろう細かなニュアンスを読み取ることもできます。

 

その他、当然ではありますが日本株は円で取引されるため、為替リスクもありません。日本に住んでいて日本語を使っているからこそ享受できる、これら地の利を活かさない手はないかと考えます。

 

(2)財務・収益力が向上している企業が多い

日本にはバブル崩壊後、構造改革を経て、財務・収益力が格段に向上している企業が数多く存在しています。


2023年3月期において、日本の上場企業の純利益合計は、前の期比1%増の39兆881億円と、2期連続で最高益を更新しました(「日本経済新聞」2023年5月19日)。


また、外国人投資家の増加や、東京証券取引所からの「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請などにより、企業は以前にも増して、株価対策を重要課題としてとらえ、株主還元・株主重視の姿勢を強めるようになっています。


その他日銀は、欧米当局が金融引き締めに動く中でも、依然として金融緩和を維持する姿勢を見せています。


企業は、バブル期に比べて安定して儲けることができる会社作りを行っているとともに、国や証券取引所は株価上昇のための道筋を作っています。


近年日本は、株価上昇のための取り組みを官民一体となって行っており、以前よりも株価上昇に対する期待値は上がっていると言ってよいかと思います。

 

(3)ここ10年の株式パフォーマンスはアメリカに見劣りしない

先ほど、バブル崩壊後32年間の株価指数を比較したとき、NYダウの指数は日経平均のそれを8.5倍上回っていると話をしました。


しかし、実はここ10年の株価指数を比較するとその差はほとんどほとんどありません。下の図表2は2013年7月~2023年7月の日経平均とNYダウの値動きを比較したチャートです(それぞれ2013年7月を100として指数化)。

 

[画像2]2013年以降の日経平均とNYダウの株価比較


日経平均が優位な時期、NYダウが優位な時期いずれもありつつ、最終的には僅かでありますが、日経平均の方がNYダウのパフォーマンスを上回っています。ここ10年で見ると、決して日本株はアメリカ株に比べて劣っていないのです。


また、下の図表3は、日本・アメリカ・ヨーロッパ・世界の株式リスクプレミアムを表したグラフです(『ファクター投資入門』(アンドリュー・L・バーキン、パンローリング、2018年11月)から著者作成)。

 

[図表3]リスクプレミアム比較

 


リスクプレミアムは、投資家がそのリスクに応じて期待する超過収益(※)のことで、「(リスクある資産の期待収益率)-(国債など無リスク資産の収益率)」の式から算出されます。

(※)期待収益を上回る収益のこと。


中長期で見たとき、日本のリスクプレミアムはアメリカ・ヨーロッパ・世界に比べて引けを取るものではなく、投資家は日本の株式に対して相応の収益を期待していることがわかります。


もちろん日本にも、①人口が減少傾向にあるなど市場の成長性に乏しい②保守的な経営文化からイノベーションが生まれにくく、リスクを取る姿勢が欠如しているなどの問題があることは、否定できません。


しかし、総合的に見ると日本株に投資するメリットはデメリットを上回っており、ある程度アメリカ株もポートフォリオに入れながら日本株も買うという戦略は有効的なものであると考えています。

 

 

なのなの

サラリーマン兼業投資家

 

※本記事は『月41万円の“不労所得”をもらう億リーマンが教える 「爆配当」株投資』(KADOKAWA)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

 

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