ピンチかチャンスか…「株価急落時」の対処方法
「バリュー投資の父」「ウォール・ストリートの最長老」と呼ばれる投資家ベンジャミン・グレアムは、以下のような言葉を残しています。ここからは、株価が大きく下がったときの『買い』のコツとメンタルを守るための対処法についてお話ししていきます。
「賢明な投資家というのは、楽観的な人間に株を売りつけ、悲観的な人間から株を買い取るリアリストのことだ」(ベンジャミン・グレアム)
(1)市場急落時の「買い」の判断は「信用評価損益率」を参考に
全体的に株価が大きく下げたときは、精神的なダメージもありますが、同時に株購入のチャンスでもあります。株式市場には数年に一度、必ず大暴落と言っていいほどの大きな下げがきます。
2000年以降でも、ITバブル崩壊(2000年)、アメリカ同時多発テロ(2001年)、ライブドアショック(2006年)、リーマンショック(2008年)、東日本大震災(2011年)、チャイナショック(2015年)、コロナショック(2020年)など数々の局面において株価は大きく下げました。
[図表1]に示す通り、2001年1月~2023年8月の期間中、日経平均の下げが5%を超えていた日は29日もありました。
このように市場全体が大きく下げたときは、業績好調かつ、景気の影響をあまり受けない銘柄の買いを狙いたいところです。
市場全体が急落したときの買いの目途は、信用評価損益率(※)を参考にするとよいでしょう。
(※)信用取引で株式の売買をしている投資家が買い建てた銘柄の含み損益の割合。
一般的に個人投資家は利益が出ると早々に利益を確定させ、損失が出るとそのまま塩漬けすることが多いため、信用評価損益は通常、だいたい0%~▼20%あたりを動いています。
市場の下げにより信用評価損益が▼15%を下回ってくると、追加証拠金(※)が発生する個人投資家も多く出てくるようになります。
(※)委託保証金を追加で差し入れなければならない状態のこと。
さらに、信用評価損益率が▼20%を下回ると、フルレバレッジで信用買いをしている投資家の多くは保有株式を投げ売りせざるを得ない状況になっています。このくらいのときは、株価の底入れが近づいており、買いのチャンスとも言えます。
信用評価損益率が▼15%を下回る水準で買いの準備をはじめ、▼20%を下回るタイミングで、精神的な余裕を持ちつつ、少しずつ逆張りで買いを入れてもよいでしょう。
なお、[図表2]で示すように、信用評価損益率は松井証券のサイトから確認することができます。
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