Cさんを養うため、月36万円の年金を“ほぼ使い切る”生活
筆者はまず、A夫妻に現在の家計収支を伺いました。
A夫妻の現在の収入は、主に年金です。老齢厚生年金を月額約36万円を受け取っていますが、毎月ほぼ全額を使い切っています。
その内訳は、11万円近くがCさんの国民年金と国民健康保険、介護保険料、食費や小遣いです。残りの約25万円が2人の生活費ですが、いまのところは貯蓄を取り崩すことなく生活ができています。
筆者が引っかかった「2つ」の懸念点
筆者は2人から一連の話を伺うなかで、次の2点が気にかかりました。
1.夫婦のうちどちらかが亡くなると、貯蓄を取り崩す生活になる
2.両親の相続対策
1.夫婦のうちどちらかが亡くなると、貯蓄を取り崩す生活になる
夫婦のどちらか亡くなった場合、年金受給額は[図表1]のようになります。
Cさん関連の毎月約11万円の出費は、あくまで夫婦2人の年金収入を前提として可能となっています。2人とも80代と高齢になっていますから、万が一夫婦のどちらかが亡くなると、いまのままでは親の貯蓄を取り崩さなければ生活が成り立ちません。
2.両親の相続対策
また、夫婦の現在の資産は[図表2]のとおりです。
現在、夫婦の資産は約9,200万円あります。両親が亡くなったあと、ひとり息子のCさんがこの資産額をそのまま相続すれば、相続税の基礎控除額3,600万円※を差し引いた5,600万円が相続税の課税対象額になります。
※ 相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
そこで、Cさんがとっておきたい相続対策としては、「事前に両親の資産額を減らすこと」が挙げられます。とはいえ、現在健康なA夫妻も、年を重ねるにつれて、病気や介護のリスクが高まり出費が増える可能性があります。また、無職のCさんにとって、相続のためといって夫婦の資産を減らすのは躊躇されるところです。
そうはいっても、夫婦はともに80代ですから、相続の対策をする年齢には違いありません。
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