(※写真はイメージです/PIXTA)

日本人は「勤勉な気質」と言われますが、それも相まってか過労死に至る事件が相次いで起こっています。本記事では、厚生労働省『令和5年 就労条件総合調査』などとともに日本の労働環境の実態や、改善の余地について考えていきます。

「働きすぎの日本人」所定労働時間は7時間だが…

「働きすぎ」が叫ばれて久しい日本社会。「Karoushi(過労死)」は海外メディアすら使用する言葉となり、国主導で改善すべき大きな課題です。

 

厚生労働省『令和5年 就労条件総合調査』では、現在の日本人の働き方について詳しく調べられています。内容を見ていきましょう。

 

■所定労働時間

 

まず「法定労働時間」と「所定労働時間」は異なります。法定労働時間はその名の通り、労働基準法で規定されているものです。

 

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労働基準法第32条


第1項 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時を超えて労働させてはならない。


第2項 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日ついて8時間を超えて、労働させてはならない。

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一方所定労働時間は、雇用者と被雇用者の間で取り交わされた契約のなかで定めた労働時間のこと。法定労働時間の範囲内で自由に決めることができます。

 

前述の調査によると、1日の所定労働時間は、平均7時間48分(令和4年調査 7時間48分)、労働者1人平均7時間47分(同7時間47分)となっています。週所定労働時間は、平均39時間20分(同39時間28分)であり、最も短いのは「金融業、保険業」の38時間02分、最も短いのは「宿泊業、飲食サービス業」「生活関連サービス業、娯楽業」の39時間35分でした。

 

実際のところ、ここから所定時間外労働、つまり残業が追加される企業が大半ですから、働き手の実感値とは言い難いかもしれません。

「月45時間を超えた時間外労働は危険」と言うけれど

総合人材サービス、パーソルグループのパーソルキャリア株式会社が運営する転職サービス「doda(デューダ)」<https://doda.jp>は、20~59歳のビジネスパーソン15,000人を対象に、職種別の残業時間の実態調査を行っています。

 

2023年4~6月における、1ヵ月あたりの平均残業時間は「21.9時間」。残業時間が多い職種ランキング1位は、「プロデューサー/ディレクター/プランナー(出版/広告/Web/映像関連)」の42.2時間で、「設計監理/コンストラクションマネジメント」39.1時間、「建築設計/デザイン/積算/測量」31.1時間と続いています。20営業日の場合、残業時間が多い職種では1日2時間以上の追加労働が発生しているわけです。

 

なお厚労省は「週40時間を超える時間外・休日労働がおおむね月45時間を超えて長くなるほど、業務と発症(脳・心臓疾患)との関連性が徐々に強まる」と警鐘を鳴らしています。

 

企業側も、労働環境改善を進めてはいるものの、「フレックスは業種柄厳しい…」といった声も。東京労働局は、第一歩として「勤務間インターバル」制度の活用を進めています。

 

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