最も高く購入する「買主」は誰か?
今回は、買い手が誰か、ということに注目します。最終的な目標は出口を最大化することです。そして売却時は常に、「今は、誰に売ったら高く買ってくれるか?」という見極めを行う必要があります。
私の経営する会社は、売買の仲介を行っています。そのため、最も高く購入する買主を常に研究して、複数の売却先を押さえています。というのも、同じ区分マンションであっても、築浅の物件、築古の物件、好立地の物件、郊外にある物件・・・といったように、物件ごとに特徴があるためです。その特徴によって購入する買主が変わります。
マイナス金利の影響で買取会社が有力候補に!?
●買取会社
業者は安く買い叩く・・・というイメージをもっている人も多いと思いますが、現在の市況では、個人投資家よりも高く買い取ってくれるケースが多いです。その理由は、マイナス金利の影響で、金融機関の事業融資が下りやすい状況になっているからです。
もうひとつの理由は、業者ではなくエンド投資家向けの融資として、信販型の提携ローンがあるからです。業界では一般的に「パック」と呼ばれていますが、1500万円の投資価値しかないマンションに対して、2000万円以上のローンを組むことができるのです。不動産の担保価値が1500万円、もう500万円は個人の属性に対して貸し付けます。そして、提携ローンが付いたパックのマンションから先に売れていくものです。
かつて、リーマンショック後は、買取会社が物件をまったく買えませんでした。提携ローンについても、マンションへの評価が下がったために利用することができません。実際に、私の経営する会社でも、成約した案件全体の9割が、客付け会社と自己資金の用意できるエンド投資家でした。それは、銀行がお金を貸さないため、買取会社が物件の仕入れをできない状態だったためです。
それが今では、まったく逆の現象が起きています。少し前までは、台湾やチャイナマネーと言われる外国人富裕層が買い漁っていましたが、現状は、買取会社が一番高く買ってくれます。
ただし物件によっては、買取会社が扱わないものもあります。たとえば旧耐震基準の物件や半地下にある物件、エレベーターがない5階の区分マンションは、金融機関の評価が低いものです。ですからそういった物件を所有している場合は、買取会社ではなく、投資家向けに売却を考えたほうがいいでしょう。
買取会社が提携している主な金融機関は、いくつかあります。その条件はまちまちで、あるノンバンクでは自社が抵当権者になっている物件の評価が高く、また別の金融機関が融資を行っている物件は評価が低い、といった可能性があります。そのようなときは、個人投資家のほうが、評価が高くなる場合があります。
次回は、買い手が投資家、外国人投資家の場合を見ていきます。