(※画像はイメージです/PIXTA)

憧れのタワマン生活を送る26歳の会社員男性。一般的な会社員の給料ですが、毎月20万円超の家賃を払って暮らしています。実情を聞くと、驚くような生活実態が見えてきました。

「タワマンに暮したい」10代から貯金にいそしむ、恐るべき情熱

一般企業に勤務する26歳の山田さん(仮名)は、千葉県浦安市の出身。三世代同居の戸建て住宅で育ちましたが、子どものころから近隣にそびえるタワマンに憧れ、タワマン暮らしの人々を羨望のまなざしで見つめてきました。

 

「もともと高い建物が好きなのです。東京タワーにスカイツリー、その他高層の商業施設にはあちこち足を運びました。眺望もそうですが、大きい建物のエントランスに足を踏み入れる、あの高揚感がたまりません」

 

「子どものころには、タワマン住まいの友達もいました。遊びに行くと、部屋から見渡す景色がすごくて。それで一生懸命アルバイトしたんです…」

 

なんとタワマン好きが高じて、学生時代から「タワマン貯金」をしてきたというのです。

 

「絶対にタワマンに暮らすという夢をかなえるため、学生時代はアルバイト漬け。女の子とデートもしましたが、ほかの学生にくらべたら、正直、熱量は低かったですね…」

 

「当時の彼女は〈タワマンへの情熱が理解できない〉といって、去っていきました」

 

その後月日が経過し、山田さんも社会人となり、就職します。

 

「タワマンに暮すのは、もっと給料が上がってから」と考えていた山田さんですが、どうしても辛抱できず、入社3年目で賃貸のタワマンの25階へと引っ越しました。

「あんた、なにしてるの!」息子の暮らしぶりに母親、絶句

山田さんの勤務先は堅実なところでしたが、それでも入社3年目の若手社員にとって、家賃20万円超という負担は、収入から見てあまりにバランスを欠くものでした。そのため、毎月足が出てしまったぶんは、高校時代から続けてきた「タワマン預貯金」で補填しながら生活しています。

 

「切り詰められるところは、すべて切り詰めています」

 

「風呂は2日に1回、洗濯は週に1回。外食はせず、自炊が原則です」

 

服も買わない。デートもしない。朝食は食パンにマーガリン、夜は米になにかしらのおかずを2品。昼は食べない。室内には、通販でも買える簡素なベッド以外の家具もない。白っぽいフローリングの壁際には、風呂敷に包まれた荷物が寄せられていますが、通勤用のスーツをかけるために、ハンガーラックだけは置いてありました。

 

食事はお盆を膝に乗せ、ベッドに腰かけて食べています。一応、電子レンジと冷蔵庫、タテ型の洗濯機は購入しました。

 

「外に洗濯物が干せませんからね」

 

「以前、母親がこの部屋に尋ねて来たのですが、私の暮らしぶりを見て言葉を失っていました」

 

山田さんの母親は「息子がタワマン暮らしをしているの」と周囲に自慢していたそうなのですが、まさかここまで生活を切り詰めて住んでいるとは想像していなかったとのこと。

 

「〈あんた、なにやってるの!〉〈実家に戻るか、人間らしい暮らしができるところに住み替えなさい〉と怒っていましたよ」

 

「ちなみに姉が来たときは、窓の外を見て貧血を起こしそうになり、早々に帰ってしまいました」

なぜここまでタワマンに憧れるのか?

切り詰めた生活は大変そうですが、それ自体をイベントのごとく楽しんでいるように見えます。では、暮らすうえでの不都合はあるのでしょうか?

 

「エレベーターが混むのは、本当です。もっとも、タワマンによるようですが…」

 

朝7時から8時の間はエレベーターもラッシュとなり、外に出るのに15分は時間を見ないといけないといいます。急いでいるときに忘れ物をしてしまったら最悪です。

 

「あとは、大きく窓を開けられないので、一般の住宅のように開けっ放しにして風を通すことはできません。空調でメチャクチャ空気が乾きます。それから、うちは南向きなので、この夏は死ぬほど暑かったですね。熱中症になるかと思いました」

 

いまの生活に後悔することはないかと伺ってみました。

 

「お金の無駄遣いといわれれば、確かにそうでしょうね。結局毎月足が出ているので。給料が大きく上がれば別ですが、いずれはこの部屋を出ることになります。それまでの刹那的な楽しみというか。でも、本当はタワマンに暮らし続けたい…」

 

なぜそこまでタワマンに情熱を傾けるのでしょうか? 最後にこんな質問をぶつけてみたところ、

 

「子どものころ、近所のタワマンをずっと見上げながら暮らしていたんです。〈高いところから地上を眺めながら暮らすのって、どんな気分なのだろう〉と思っていて。空を飛べる鳥に憧れる感じかな?」

 

「うちの家庭はあまりお金がなかったのですが、親はかなり厳しかったです。子どものときはやりたいこともさせてもらえず、ずっとボロい家に閉じ込められている感じがイヤでたまりませんでした。一日中日が当たる、高くて広い建物にお金持ちそうな人たちが吸い込まれていくのを見て、いいなあ、と。自由の象徴みたいな、そんな刷り込みがあるのかも…」

 

と、山田さんなりの自己分析を語ってくれました。

 

まだ年齢の若い山田さんには、資産形成のチャンスがたくさんあります。ぜひご自身のお金を大きく育て、自分の城としてのタワマンを手に入れてほしいと思います。

 

 

 

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