今回は、相続にはない贈与のメリットである、贈与税の「基礎控除」についてお伝えします。※本連載は、ランドマーク税理士法人の代表税理士・清田幸弘氏の著書『お金持ちはどうやって資産を残しているのか』(あさ出版)の中から一部を抜粋し、お金持ちの人にこそ知ってほしい「資産を残す方法」をいくつか紹介します。

20年間で「2億円」を無税で贈与する方法

贈与税には、「年間110万円」の基礎控除があり、この範囲で贈与する分には税金がかかりません。この贈与税のメリットを活かすと、億単位の財産を「税金ゼロ」で移すことができます。

 

たとえば、子ども3人、孫7人(合計10人)に、それぞれ「1年間で100万円ずつ」贈与するとします。基礎控除額の「110万円」以下なので、「100万円」であれば、贈与税はかかりません。つまり、税金を払うことなく「1年間で1000万円」を贈与することができます。

 

これを10年間続けていけば、「10年で1億円」、20年間続けていけば、「20年で2億円」の財産を「税金ゼロ」で贈与することができる計算です。

 

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「連年贈与」に認定されないよう注意が必要

ただし、「毎年、同じ相手に、同じ金額を、定期的に贈与している」と、「連年贈与」(贈与を毎年繰り返し行うこと)とみなされて税率が一気に上がり、高額の税金がかかってくるので注意が必要です。

 

連年贈与とみなされないためには、

•毎年同じ日に振り込むのではなく、時期をずらす。

•金額を少しずつ変える。

•年によっては、110万円を少し超える贈与を行って、贈与税を納めておく。

•子どもの進学や入学に合わせて贈与する。

 

などの工夫をして、連年贈与に当たらないことを示す必要があります。

 

また、相続などにより財産を取得した人に対する「相続開始前3年以内」の贈与財産は、「相続財産」に加えて計算しなければなりません。したがって、贈与をはじめて2年後に亡くなってしまったとしたら、2年分の贈与財産は、相続財産として扱われ、相続税の対象になります。そうならないためにも、生前贈与は、「元気なうちから早めに開始し、長い時間をかけて財産を分ける」のがポイントです。

 

金融財産ではなく、不動産を贈与するときは、「評価額が低いもの」を贈与すると効果的です。

 

「建ててからだいぶたつけれど、安定的に入居者がいる物件」は、不動産としての評価額は低いので贈与税を安くできます。それでいて、将来の「家賃収入」も移すことができるため、二重の節税効果があります。

本連載は、2016年10月3日刊行の書籍『お金持ちはどうやって資産を残しているのか』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

お金持ちはどうやって 資産を残しているのか

お金持ちはどうやって 資産を残しているのか

清田 幸弘

あさ出版

あの辣腕経営者、小山昇社長(株式会社武蔵野)も、絶賛! 「こんな方法もあったのかと驚いた。多額の税金を払わず資産を残し、事業を残すヒントがこの本には詰まっている。私もこの本の方法で、さまざまな対策を打ってい…

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