(※写真はイメージです/PIXTA)

誰もが避けて通れないのが「家族の介護問題」です。厚生労働省「在宅介護実態調査(令和5年)」によると、介護者は「実子」が61.4%と最も多く、また介護の頻度は68%が「ほぼ毎日」でした。なかには「自ら介護=親孝行」と考え、身体的・精神的に追い込まれていく人もいるようです。株式会社FAMORE代表取締役の武田拓也FPが、実際に体験した事例をもとに「親の介護問題」への対処法を解説します。

筆者がAさんの「介護離職」を必死で止めたワケ

また、Aさんと話した際「介護に専念するためには、仕事を辞めるしかないですよね」と思い詰めていましたが、筆者は「介護離職だけはやめておきましょう」と引き留めました。その理由は主に下記の5つです。

 

【介護離職の問題点】

1.長期化

2.生活苦

3.年収の低下

4.罪悪感

5.虐待

 

1.長期化…子育てとは違い、介護はいつ終わるかゴールが見えない

平均寿命から健康寿命を引くと、男性がおよそ8年、女性が12年ほどあります。仮にこの期間が介護を必要とする期間と考えると、平均して約10年。

 

ただし、なかには“ピンピンコロリ”でほとんど介護を必要とせずに亡くなる人もいますし、反対に10年以上の介護を必要とする人もいます。

 

とはいえ、ゴールの見えないマラソンを走るのは、身体的にも精神的にもとても大変なことです。子育ての場合はだんだんと対象(子ども)が自分ひとりでできることが増えていくのに対して、介護の場合、その対象(親)の身体能力は徐々に低下していきますから、だんだんと自分ひとりでできることが減っていき、介護者の負担が増えていくことになります。

 

2.生活苦…介護離職すると収入が減り、生活が苦しくなる

仕事をしていれば収入がありますが、離職して無職になると、収入は当然ゼロになります。

 

あらかじめ介護する期間分の生活費の蓄えがあれば、収入がなくてもなんとかなるでしょう。しかし、収入がなくなり貯蓄も尽きてしまうと、介護サービスの利用料が払えなくなるばかりか、最終的には生活保護を利用しなければならない状態になる可能性もあります。

 

3.年収の低下…再就職しても年収が下がる可能性が高い

専門性の高い職種であれば転職しても年収を維持できるかもしれませんが、多くの場合そうではないでしょう。また介護期間が5年、10年と長期化した場合には再就職がそれだけ困難となります。

 

4.罪悪感…親は子どもに好きなことをしてもらいたい

親のために介護離職を決断することは一見すると親孝行ですが、親からすると「自分のことを考えてくれるのは嬉しい」と思う反面、「申し訳ない」という罪悪感を抱えてしまう人も多いです。

 

また職場というコミュニティを離れ、1日中親をつきっきりで介護するというのは、お互いにとって負担となりえます。

 

5.虐待…仕事を辞めて常時介護していると虐待の可能性が高まる

高齢者虐待のうち、家族による虐待は介護職員による虐待の20倍以上ともいわれています。最初は「親のために」と始める介護も、長期間にわたると心身ともにストレスが溜まります。元気なころの親を知っていると、よけいに介護が必要ないまの状態を受け入れ難いものです。

 

親以外との交流が途絶え、好きな趣味や活動もできなくなると孤立してしまい、鬱積した気持ちから攻撃的な行動に繋がってしまいがちです。

 

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次ページ「国の制度」を知らずに離職を決断してしまう人が多い

※プライバシー保護の観点から、実際の相談者および相談内容を一部変更しています。

<参考>
※ 厚生労働省「介護休業制度」(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/kaigo/index.html)

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