(※写真はイメージです/PIXTA)

乾燥する冬に欠かせない家電が「加湿器」です。「加湿器」と一言でいっても、「スチーム式」「超音波式」「気化式」「ハイブリッド式」などさまざまなタイプがあり、購入時にその種類の多さに迷ってしまう人も多いのではないでしょうか。一級建築士の松尾和也氏が、著書『間取りと住まい方の科学』(新建新聞社)より、加湿器の選び方の最適解について解説します。

機械での加湿には2パターンの方法がある

機械を使う方法もまた2分類できます。

 

ひとつはエアコンです。ダイキンの上位機種に限られますが「うるるとさらら」というシリーズには加湿機能がついています。ただし、まだ家全体を加湿できるほどの加湿量ではありません。また、冷暖房の効率は良いのですが、加湿を併用した瞬間に燃費が急に悪くなるので、加湿という観点ではおすすめしません。

 

ここまで来てようやく本命の加湿器についてです。家電量販店で売られている加湿器は大きく4種類に分類することができます。

 

ご存知の方も多いと思いますが、「スチーム式」「超音波式」「気化式」「ハイブリッド式」です[図表]。

 

出所:『間取りと住まい方の科学』(新建新聞社)より抜粋
[図表]4種の加湿器の仕組み 出所:『間取りと住まい方の科学』(新建新聞社)より抜粋

 

最も古くからあるのはスチーム式だと思います。加熱することでスチームをつくるのでかなり強力かつ雑菌も繁殖しにくいですが、消費電力が最も大きいのが難点です。また、加湿力が強すぎるために「障子がぶよぶよになった」という現象が起こるのはだいたいこのタイプです。

 

次に超音波式です。雑貨屋さんなどに置いてある壺型のような形状から白い煙のようなのがもくもくと出ているタイプがこれに該当します。超音波で水を細かい微粒子にして空中に拡散させる方式です。小さいサイズが多く手軽に設置できて、かなり省エネで音も静かです。

 

しかしながら、タンク容量が小さすぎて家全体を加湿するには何台も必要になりますし、掃除がきちんとできていないとカビをはじめとする雑菌を部屋中に撒き散らしてしまいます(加湿器病という言葉がありますが、その大半はこのタイプの機種が原因です)。

 

また、水の微粒子を吹き出すため、遠くまで加湿効果を行き届かせることが難しく、加湿器の周囲の床はビショビショになるのに遠くは乾いたままといったデメリットがあります。

 

3つ目は気化式です。形状は色々ありますが、要約すると円形の下敷きを数ミリ間隔で10枚から20枚重ねたものの下部だけ水桶につけて回すという仕組みです。水分が上がってきたところでファンによって風をあてて素早く乾かします(気化させる)。

 

この説明からわかるように、電気が必要なのは円形の下敷きをゆっくり回すモーターとファンだけです。よって扇風機程度の消費電力しか使いません。部屋が元から湿っていればあまり気化(加湿)しませんし、乾いているときはよく気化します。よってスチーム式のようにビショビショになることはありませんし、原理的にも最適な湿度になりやすい特性を持っています。

 

また、一度に10Lくらいまでのタンク容量をもつ機種があるのもこのタイプの加湿器に限られます。ただし、出てくる風は気化された分だけ気化熱を奪われているため、室温より若干低い温度が吹き出されます。夏の道路への打ち水や、注射時の消毒がヒヤッとするのも同じ気化熱の原理によるものです。

 

厳密にいうと、気化式の加湿器を使い続けると、その分室温はほんの少しだけ下がります。これを補うのが暖房(エアコン)です。エアコンの暖房効率は非常に高いので、この組み合わせが理論的には最強だと考えています。

 

気化式の加湿器で注意すべき点は、加湿させる「円形の下敷き」に該当するものの交換が定期的に必要か? それとも簡単な洗浄だけの定期交換不要なものなのか? を選ぶことです。

 

個人的には定期交換不要なものが好きですが、その中でも簡単に清掃ができるタイプのものと、かなり手間がかかるものに分けられます。これらをトータルで考えた上で、私が気に入っているのはパナソニックの大型気化式加湿器です。4.5L×2で9Lも入るので、1日1回の給水で家全体を加湿することができます。

 

最後がハイブリッド式ですが、これは気化式で説明したファンの風が単純に温風になっただけのタイプです。その分だけ余計に電気を使いますが、加湿能力はアップします。また出てくる風が冷たくありません。ただし、この温風をつくるときの効率はエアコンより劣ります。また、大型の機種があまりないことから、私はあまり推奨していません。

 

一般家庭で一番よく使われているのは空気清浄機と一体になった加湿器(加湿空気清浄機)です。これは大半が気化式を内蔵しています。ものによってはかなりの加湿量を誇るのですが、機能を兼ねながらも省スペースを実現しなければならない都合上、大半が3〜4Lのタンクしか持ち合わせていません。これでは1日に家全体を加湿する量には到底及びません。

 

2台運用するか1日2回交換すればいいのですが、人間面倒なことはやめてしまう可能性が高いので、やはり加湿は専用の加湿器を使うことが望ましいと考えています。

 

 

松尾 和也

松尾設計室

一級建築士

 

 

注目のセミナー情報

【国内不動産】5月13日(月)開催
銀行からフルローンを引き出す「最新不動産投資戦略」
利回り7%超!「新築アパート投資」セミナー
~キャッシュフローを最大化させるためのポイントも徹底解説

 

【国内不動産】5月16日(木)開催
東京23区×新築×RC造のデザイナーズマンションで
〈5.5%超の利回り・1億円超の売却益〉を実現
物件開発のプロが伝授する「土地選び」の極意

 

【事業投資】5月25日(土)開催
驚異の「年利50% !?」“希少価値”と“円安”も追い風に…
勝てるBar投資「お酒の美術館」とは

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

■恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ

 

■入所一時金が1000万円を超える…「介護破産」の闇を知る

 

■47都道府県「NHK受信料不払いランキング」東京・大阪・沖縄がワーストを爆走

 

※本連載は松尾和也氏による著書『間取りと住まい方の科学』(新建新聞社)より一部を抜粋・再編集したものです。
※本稿に明記のメーカーや機種名はすべて筆者調べによるものです。

お金と健康で失敗しない間取りと住まい方の科学

お金と健康で失敗しない間取りと住まい方の科学

松尾 和也

新建新聞社

「家相」や「風水」は昔の人々の長年の生活体験や知恵に由来することが多く、必ずしも現代にそのまま当てはまるわけではない―― エコハウスの設計に長年取り組み、数多くの経験から導き出した設計の法則と住まい方を、設計…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧