(※写真はイメージです/PIXTA)

乾燥する冬に欠かせない家電が「加湿器」です。「加湿器」と一言でいっても、「スチーム式」「超音波式」「気化式」「ハイブリッド式」などさまざまなタイプがあり、購入時にその種類の多さに迷ってしまう人も多いのではないでしょうか。一級建築士の松尾和也氏が、著書『間取りと住まい方の科学』(新建新聞社)より、加湿器の選び方の最適解について解説します。

「機械」を使わない加湿テクニックもある

加湿には様々な方法があります。まず大きく、加湿器等の機械を使う方法と使わない方法の2つに分類できます。

 

機械を使わない方法の代表例が「洗濯物の部屋干し」です。

 

地味ですが、乾燥重量で6kg(4人家族1日分相当)の洗濯物を部屋干しすると、その重量の60%である3.6k(L)もの加湿をすることに相当します。加湿器に水を入れる手間もいりませんし、機器の掃除の必要もありません。

 

しかしながら、洗濯物が干してあるとインテリア(見た目)が劇的に汚く見えてしまうという大きなデメリットがあること、梅雨時期には本来除湿すべきところを勝手に加湿してしまい過加湿になることから、あまりこの方法はおすすめしません。 

 

機械を使わない方法はあと2つありますが、主に加湿と言うよりも「乾燥の緩和」というものです。

 

ひとつは全熱交換器を導入するということです。

 

冬の室内の空気は外気より湿っています。普通に換気すると、この湿った空気をそのまま捨て、外の乾燥空気をそのまま入れることになります。しかし全熱交換すれば、室内の水分を若干外部から取り入れる乾燥空気に移動させてから入れることができるようになります。これは明らかに緩和です。

 

もうひとつが、珪藻土等の調湿建材と呼ばれる建材の採用です。

 

これはずっと水分を吐き続けたり吸い続けたりするものでは決してありません。ビニルクロスの壁に比べると湿度のサインカーブがなめらかになる=ピークとボトムが緩和される効果があるということに過ぎません。

 

日本語的には「蓄湿材」と呼ぶにふさわしいと思います。とはいえ湿度でなんとかしたいと強く思うのはこのピークとボトムです。それを緩和する効果があるというのは望ましいことです。ただ、その機能だけでみると高くつくのが難点でしょうか。 

 

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※本連載は松尾和也氏による著書『間取りと住まい方の科学』(新建新聞社)より一部を抜粋・再編集したものです。
※本稿に明記のメーカーや機種名はすべて筆者調べによるものです。

お金と健康で失敗しない間取りと住まい方の科学

お金と健康で失敗しない間取りと住まい方の科学

松尾 和也

新建新聞社

「家相」や「風水」は昔の人々の長年の生活体験や知恵に由来することが多く、必ずしも現代にそのまま当てはまるわけではない―― エコハウスの設計に長年取り組み、数多くの経験から導き出した設計の法則と住まい方を、設計…

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