あらゆる冷暖房器具のなかで「エアコン」が最も有能
世界広しと言えど、日本ほど多種多様な冷暖房器具が入り乱れている国は他にないと思っています。暑くて湿度が高い夏、暑くはないけれどジメジメしている梅雨、寒くて乾燥している冬があるからです。
この厳しい状況を少しでも改善したいと考え、誰に教わるわけでもなく各々が冷暖房器具を選定しています。
とはいえ冷房器具の選択肢は正直とても少ないのが現実で、大きく分けると扇風機とエアコンの2択しかありませんし、梅雨時期の除湿に関しても除湿機かエアコンの2択となります。
一方、暖房(採暖※)となると驚くほど多種多様な方式が存在します。エアコン、灯油ファンヒーター、ガスファンヒーター、東北以北でよく見かける窓際のラジエーター方式(灯油方式とヒートポンプ方式があります)、さらに床暖房にホットカーペット、電気/灯油ストーブ、オイルヒーター、薪ストーブ、ペレットストーブ……パッと思いつくだけでもこの程度は存在します。
※部屋全体ではなく、人がいる場所など局所的に暖をとること
暖房器具も大きく2つに分けることができます。部屋(房)全体(家全体)を暖める暖房器具と、局所的に体の一部を暖める採暖器具です。採暖器具は暖を採るという意味では暖房器具ですが、厳密に言うと暖房器具ではありませんので、今回は部屋全体を暖める暖房器具について説明します。
そもそもですが「空調」という言葉があります。これは「空気調和」の略語で、空気調和とは暖房、冷房、加湿、除湿の4要素を指しています。日本は大半のエリアにおいて、一年中快適に過ごそうとすると、この4要素全てが必要となってきます。
さて、この4要素それぞれに対応器具が必要だとします。さらにこの4要素を家全体で満たしたいとします。そうすると4要素×部屋数分の器具が必要となり、5部屋なら20もの空調機器が必要となることになります。流石にこれは現実的ではありません。
絶賛しかないはずのエアコンだが、意外と嫌われ者だった……
その点で便利なのがエアコンです。エアコンは空調の4要素のうち暖房、冷房、除湿の3要素を兼ね備えています(あるメーカーの一部の機種は加湿も備えていますが、加湿性能は発展途上なのでここでは対象外とします)。
このような機能兼用製品というのはそれぞれの性能が中途半端になりがちです。しかしながら、エアコンは冷房、暖房、除湿の全てにおいて最もランニングコストが安くなる(=最も省エネ)という非常に優れた性能を誇ります。
また電気ストーブや薪ストーブのように、目視できる範囲にしか影響が届かない器具とは異なり、空気を上手に分配することができるので、家全体にその効果を行き渡らせることもできます。
このように素晴らしい性能を持った製品は、一般的には「例外なく」と言っていいほど“非常に高価”なのですが、家庭用のルームエアコンは年間900万台程度と大量に生産されているため、安価に購入できます。
普通に考えると、こんなに素晴らしい製品には絶賛しかないはずですが、むしろ嫌われていることの方が多いとさえ感じます。その理由は次のとおりです。
①温風温度が低く上から吹き出すため、低断熱住宅では暖かさを実感できない
②灯油やガスのファンヒーターのように燃焼時に水分が発生しないため、また低断熱住宅では風量が特に大きくなるため乾燥感を感じやすい。
③夏の日射遮蔽と屋根の断熱が脆弱な住宅が多いので、特に2階が暑く、これをしのぐために強めに冷房運転してしまう。
④エアコンの暖房、冷房は電気に集中していること、月1回だけ電気代の合計値が示されることから実際よりも高い金額を請求されている感覚を伴いやすい。
だいたいこのようなところだと思います。ですが、①と②は高断熱住宅できっちり加湿と組み合わせて使えば実際にはなんら不快感はありません。
③は日射遮蔽がされていない窓側から電気ストーブで暖め、エアコンから常に冷風を吹き出すというような環境になってしまうため、体感上しんどさを感じます。これが冷房嫌いという結果につながっています。
いずれも低断熱住宅が最大の要因です。
また④に関して言えば、灯油で暖房する場合は電気代の支払い明細とは別に光熱費がかかりますが、その都度購入する分割払いなので「暖房費が高くなった」という実感が薄いというのもあるでしょう。
注目のセミナー情報
【減価償却】11月20日(水)開催
<今年の節税対策にも!>
経営者なら知っておきたい
今が旬の「暗号資産のマイニング」活用術
【国内不動産】11月20日(水)開催
高所得ビジネスマンのための「本気の節税スキーム」
百戦錬磨のプロが教える
実情に合わせたフレキシブルな節税術