(※画像はイメージです/PIXTA)

むやみに大きな保障は保険料のムダになりかねません。生命保険への加入を思い立ったら、まずは自分が利用できる「公的保険」の内容をチェックしましょう。14年間続くシリーズ『NEWよい保険・悪い保険2024年版』(横川由理氏・長尾義弘氏監修、徳間書店)より一部を抜粋し、「保険の見直し」で損しないためのポイントを紹介します。

その生命保険、本当に必要?実は「公的保険でカバー済み」かも

⇒民間保険は「公的保険で足りない分」をカバーするもの

 

どの生命保険に入ろうか。

 

そこからスタートする人が多いと思います。ですが、その前に「民間の保険は必要なのか」を考えましょう。なぜなら、あなたにはすでに「公的保険」が用意されているからです。

 

どんなリスクのときに、どういった保険があるのか。公的保険と民間保険に分けて、図表1にまとめました。さまざまな場面で、公的保険がフォローしてくれることがわかります。

 

2023年10月時点の情報に基づき作成 横川由理・長尾義弘監修『NEWよい保険・悪い保険2024年版』(徳間書店)より
[図表1]どういう公的保険がある? 2023年10月時点の情報に基づき作成
横川由理・長尾義弘監修『NEWよい保険・悪い保険2024年版』(徳間書店)より

 

もっとも、公的保険の保障は一律ではありません。年齢、所得、会社員、自営業など、それぞれの状況によって、保障範囲や保障額が異なります。

 

まずは、自分は「どのくらいの保障を受けられるか」を調べてください。それから、万一の場合にいくら必要かも割り出します。そして、公的保険で足りない分を、民間の保険でカバーします。

 

むやみに大きな保障は保険料のムダ。こんなふうに公的保険をベースとして考えると、保険のかけすぎを防ぐことができます。

 

⇒リスクに応じて保障を整える

 

公的保険は、かなり頼れる存在です。

 

もっとも身近なものは、健康保険でしょう。原則、自己負担はかかった医療費の3割です。さらに、医療費がかさんだ場合には高額療養費制度があります。一般的な所得の人なら、月に9万円前後ですむようになっています。

 

自己負担額はそれほど多くならないため、貯蓄でも対応できます。

 

遺族年金も、会社員などは手厚くなっています。それでも、子どものいる家庭は公的保険だけでは足りません。

 

こういった大きなリスクこそ、民間の保険の出番です。収入保障保険や定期保険で補う必要があります。

 

働けなくなったときも、健康保険から傷病手当金が出ますから、ある程度は生活を支えてくれます。しかし、フリーランスや自営業者には傷病手当金がありません。民間の就業不能保険で備えたほうがいいでしょう。

 

どんなリスクに、何が役立つかを知っておいてください。必要な保障に絞ることが肝心です。

【さらに詳しく】医療費の負担は抑えられている

<自己負担は原則3割>

健康保険のおかげで、私たちが支払う医療費は原則3割です。さらに、70歳からは2割(所得に応じて3割)、75歳以上の後期高齢者は1割(所得に応じて2割・3割)と、年齢が上がるにつれて負担は軽くなります。また、未就学児童は2割ですが、無料で診療を受けられる自治体がほとんどです。

 

2023年10月時点の情報に基づき作成 横川由理・長尾義弘監修『NEWよい保険・悪い保険2024年版』(徳間書店)より
[図表2]自己負担は原則3割 2023年10月時点の情報に基づき作成
横川由理・長尾義弘監修『NEWよい保険・悪い保険2024年版』(徳間書店)より

 

<高額療養費のしくみ>

自己負担3割といっても、入院や手術などは医療費が高額になりがちです。しかし、高額療養費制度を使えば、一定額を超えた分をあとで戻してもらえます。所得や年齢によって自己負担の上限は異なりますが、一般的な所得の人であれば実質の負担は9万円前後ですみます。

 

2023年10月時点の情報に基づき作成 横川由理・長尾義弘監修『NEWよい保険・悪い保険2024年版』(徳間書店)より
[図表3]高額療養費の仕組み 2023年10月時点の情報に基づき作成
横川由理・長尾義弘監修『NEWよい保険・悪い保険2024年版』(徳間書店)より

【さらに詳しく】遺族基礎年金と遺族厚生年金とは?

一家の大黒柱や年金受給者が死亡すると、遺族に遺族年金が給付されます。遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があります。自営業者などは遺族基礎年金のみ、会社員などは両方受け取れます。

 

受給の要件も異なります。遺族基礎年金は、死亡した人に生計を維持されていた「子のある配偶者」か「子」です。遺族厚生年金は、死亡した人に生計を維持されていた「配偶者」「子」「父母」などとなっています。図表4の例は、会社員で子どもが2人いるケースです。

 

2023年10月時点の情報に基づき作成 横川由理・長尾義弘監修『NEWよい保険・悪い保険2024年版』(徳間書店)より
[図表4]遺族基礎年金と遺族厚生年金 2023年10月時点の情報に基づき作成
横川由理・長尾義弘監修『NEWよい保険・悪い保険2024年版』(徳間書店)より

 

 

横川 由理

FPエージェンシー代表、CFP®、証券アナリスト、MBA(会計&ファイナンス)。お金の知識を広めることをライフワークとして、ファイナンシャル・プランニング技能士資格取得講座、マネー講座、執筆などを中心に幅広く活動している。

著書に『老後にいくら必要か?』『50歳からの資産防衛術』(すべて宝島社)、『大切な人を亡くしたあとのお金のこと手続きのこと』(河出書房新社)、『保険 こう選ぶのが正解! 2024-2025年版』(実務教育出版)、『知らないだけで損をしている! インフレってなに?』(自由国民社)など多数。

 

長尾 義弘

ファイナンシャルプランナー、AFP、日本年金学会会員。新聞・雑誌・Webなどで「お金」をテーマに幅広く執筆。

著書に『コワ〜い保険の話』(宝島社)、『こんな保険には入るな!』(廣済堂出版)、『お金に困らなくなる黄金の法則』『最新版 保険はこの5つから選びなさい』『老後資金は貯めるな!』『私の老後 私の年金 このままで大丈夫なの? 教えてください。』(すべて河出書房新社)、『運用はいっさい無し!60歳貯蓄ゼロでも間に合う老後資金のつくり方』(徳間書店)、共著に『金持ち定年、貧乏定年』(実務教育出版)など多数。

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

 

■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

 

■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

 

注目のセミナー情報

​​【国内不動産】11月9日(土)開催
実質利回り15%&短期償却で節税を実現
<安定>かつ<高稼働>が続く
屋内型「トランクルーム投資」成功の秘訣

 

【海外不動産】11月12日(火)開催
THE GOLD ONLINEセミナーに
「アンナアドバイザーズ」初登壇!
荒木杏奈氏が語る「カンボジア不動産」最新事情

 

​​【国内不動産】11月14日(木)開催
社長登壇!アパート4棟所有、資産3億円!
“入居者に選ばれ続けるアパート”が成功のカギ

※本連載は、横川由理氏・長尾義弘氏監修『NEWよい保険・悪い保険2024年版』(徳間書店)より一部を抜粋・再編集したものです。
※本連載に掲載している保険商品の価格や情報は、2023年10月時点の情報に基づくものです。最新の情報、保険条件などの詳細については、各保険会社などにお問い合わせください。
※保険の見直しなどは、個人の責任でよく考えて行ってください。

NEWよい保険・悪い保険2024年版

NEWよい保険・悪い保険2024年版

長尾 義弘
横川 由理

徳間書店

【保険の最新・最強バイブル】 保険のプロたちが各保険商品の保障内容を徹底チェック。広告一切なし、保険のプロが超激辛にジャッジ! 今年もベスト&ワースト保険を16の分野で選出しました! あの保険商品を実名でランキ…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録