その生命保険、本当に必要?実は「公的保険でカバー済み」かも
⇒民間保険は「公的保険で足りない分」をカバーするもの
どの生命保険に入ろうか。
そこからスタートする人が多いと思います。ですが、その前に「民間の保険は必要なのか」を考えましょう。なぜなら、あなたにはすでに「公的保険」が用意されているからです。
どんなリスクのときに、どういった保険があるのか。公的保険と民間保険に分けて、図表1にまとめました。さまざまな場面で、公的保険がフォローしてくれることがわかります。
もっとも、公的保険の保障は一律ではありません。年齢、所得、会社員、自営業など、それぞれの状況によって、保障範囲や保障額が異なります。
まずは、自分は「どのくらいの保障を受けられるか」を調べてください。それから、万一の場合にいくら必要かも割り出します。そして、公的保険で足りない分を、民間の保険でカバーします。
むやみに大きな保障は保険料のムダ。こんなふうに公的保険をベースとして考えると、保険のかけすぎを防ぐことができます。
⇒リスクに応じて保障を整える
公的保険は、かなり頼れる存在です。
もっとも身近なものは、健康保険でしょう。原則、自己負担はかかった医療費の3割です。さらに、医療費がかさんだ場合には高額療養費制度があります。一般的な所得の人なら、月に9万円前後ですむようになっています。
自己負担額はそれほど多くならないため、貯蓄でも対応できます。
遺族年金も、会社員などは手厚くなっています。それでも、子どものいる家庭は公的保険だけでは足りません。
こういった大きなリスクこそ、民間の保険の出番です。収入保障保険や定期保険で補う必要があります。
働けなくなったときも、健康保険から傷病手当金が出ますから、ある程度は生活を支えてくれます。しかし、フリーランスや自営業者には傷病手当金がありません。民間の就業不能保険で備えたほうがいいでしょう。
どんなリスクに、何が役立つかを知っておいてください。必要な保障に絞ることが肝心です。
【さらに詳しく】医療費の負担は抑えられている
<自己負担は原則3割>
健康保険のおかげで、私たちが支払う医療費は原則3割です。さらに、70歳からは2割(所得に応じて3割)、75歳以上の後期高齢者は1割(所得に応じて2割・3割)と、年齢が上がるにつれて負担は軽くなります。また、未就学児童は2割ですが、無料で診療を受けられる自治体がほとんどです。
<高額療養費のしくみ>
自己負担3割といっても、入院や手術などは医療費が高額になりがちです。しかし、高額療養費制度を使えば、一定額を超えた分をあとで戻してもらえます。所得や年齢によって自己負担の上限は異なりますが、一般的な所得の人であれば実質の負担は9万円前後ですみます。
【さらに詳しく】遺族基礎年金と遺族厚生年金とは?
一家の大黒柱や年金受給者が死亡すると、遺族に遺族年金が給付されます。遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があります。自営業者などは遺族基礎年金のみ、会社員などは両方受け取れます。
受給の要件も異なります。遺族基礎年金は、死亡した人に生計を維持されていた「子のある配偶者」か「子」です。遺族厚生年金は、死亡した人に生計を維持されていた「配偶者」「子」「父母」などとなっています。図表4の例は、会社員で子どもが2人いるケースです。
横川 由理
FPエージェンシー代表、CFP®、証券アナリスト、MBA(会計&ファイナンス)。お金の知識を広めることをライフワークとして、ファイナンシャル・プランニング技能士資格取得講座、マネー講座、執筆などを中心に幅広く活動している。
著書に『老後にいくら必要か?』『50歳からの資産防衛術』(すべて宝島社)、『大切な人を亡くしたあとのお金のこと手続きのこと』(河出書房新社)、『保険 こう選ぶのが正解! 2024-2025年版』(実務教育出版)、『知らないだけで損をしている! インフレってなに?』(自由国民社)など多数。
長尾 義弘
ファイナンシャルプランナー、AFP、日本年金学会会員。新聞・雑誌・Webなどで「お金」をテーマに幅広く執筆。
著書に『コワ〜い保険の話』(宝島社)、『こんな保険には入るな!』(廣済堂出版)、『お金に困らなくなる黄金の法則』『最新版 保険はこの5つから選びなさい』『老後資金は貯めるな!』『私の老後 私の年金 このままで大丈夫なの? 教えてください。』(すべて河出書房新社)、『運用はいっさい無し!60歳貯蓄ゼロでも間に合う老後資金のつくり方』(徳間書店)、共著に『金持ち定年、貧乏定年』(実務教育出版)など多数。
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