課税口座で含み損の状態ならどうする?
では、課税口座で現在含み損ならどうするべきか。将来の上昇を見込むなら、課税口座のまま持っていても損益がプラスになるまでは課税が発生せず、NISA口座で保有するのと同じですから、そのまま持っておくのも選択肢です。
ただし他に利益の出ている別の課税口座があれば損益を通算できますし、損失の3年以降の繰り越しも可能です。そうした仕組みを使いたければ含み損の状態で売るのも選択肢です。
また含み損の状態で売却し新NISAに移せば、資産が回復してから移すよりも、NISAの限度枠の消費を抑えられるという効果もあります。資金が豊富で、NISAの枠の消費をなるべく抑えたい場合は、損益の回復前にNISAに移すことも選択肢となります。資産全体の状況をみて考えましょう。
海外転勤の可能性がある人は、金融機関選びに要注意
これまで新NISAの様々な魅力をみてきましたが、NISAには注意事項もいろいろあります。NISAの利用条件は「『日本に居住している』18歳以上(口座開設する年の1月1日時点)の人」なので、海外赴任などで日本を離れるとこの条件を満たさなくなります。
口座を開設している証券会社などに「継続適用届出書」を提出すれば、出国期間中の新たな買い付けはできないものの、提出した年の5年後の年末までNISA口座自体は継続することができます。そして帰国後「帰国届出書」を提出すると、また新規の買い付けをすることができるようになります。
ただしこれはあくまで制度上の話。このルールを適用するかどうかは任意で、金融機関によってその対応が異なります。こうしたやり方が可能なのは、例えば野村證券など少数です。
2023年9月現在、ネット証券を含めた多くの金融機関では、出国する場合、NISA口座は閉鎖または解約し、資産は課税口座に払い出すか売却しなければなりません。しかも金融機関によっては課税口座に移せるのは日本株と国債に限られ、投信は売却せざるを得ないこともあります。
自分が口座を開いている金融機関に対応をよく確認しておきましょう。あるいはこれからNISA口座を開設しようと思っているけれど海外転勤の可能性がある人は、金融機関選びの際に注意しましょう。
田村 正之
日本経済新聞社
編集委員
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
注目のセミナー情報
【税金】11月27日(水)開催
~来年の手取り収入を増やす方法~
「富裕層を熟知した税理士」が考案する
2025年に向けて今やるべき『節税』×『資産形成』
【海外不動産】11月27日(水)開催
10年間「年10%」の利回り保証
Wyndham最上位クラス「DOLCE」第一期募集開始!
【事業投資】11月28日(木)開催
故障・老朽化・発電効率低下…放置している太陽光発電所をどうする!?
オムロンの手厚いサポート&最新機種の導入《投資利回り10%》継続を実現!
最後まで取りつくす《残FIT期間》収益最大化計画