今週の注目点…年内最後の注目イベント、日銀会合
例年、年内の米ドル/円など為替相場の値動きは、12月FOMCで一巡し、その後は実質的にクリスマス休暇入りで市場参加者も減ることから、薄商いの小動きが基本でした。
ところが、そんな為替相場の静寂を破る結果となったのが昨年のことでした。2022年12月20日の日銀会合で、10年債利回りの上限拡大といった「サプライズ」により、米ドル/円は137円からその日のうちに130円まで急落となったのでした。
さて、そんな「日銀ショック」から1年後となる日銀の金融政策決定会合が19日に予定されています。
昨年の記憶もあることから、少なくともこの日までは為替相場もクリスマス休暇入りを控え、予断を許さない状況が続きそうです。では、2年連続の「日銀ショック」はあるのでしょうか。
一時、植田総裁の「年末年始はチャレンジング」と言った発言が飛び出したタイミングで円金利と円相場の急騰が起こったことから、マイナス金利解除をふくめた大規模な金融緩和見直しを、前倒しで行うとの見方も浮上しました。
ただ、これまでの日銀の説明では、大規模な金融緩和の見直しの大前提は、脱デフレと継続的な賃上げとされていたので、それをあえて変更、前倒しすることはないでしょう。
今回の会合でありうるのは、そういった金融緩和の見直しと切り離し、YCC(イールドカーブ・コントロール)政策の中の10年債利回り上限を、米金利低下をチャンスとして捉えて撤廃することではないでしょうか(図表6参照)。
では、そんなYCC撤廃もふくめ、日銀会合で政策変更がなかった場合、それは失望の円売りになるでしょうか。
継続的な円売りになるのは、円金利の低下により、日米金利差米ドル優位が拡大することが基本です。ただし、米金利の影響を強く受ける円金利は、独自の低下余地にはおのずと限度があるでしょう。
以上のように見ると、日銀会合で円金利上昇をもたらす「サプライズ」とならなくても、その反動の円売りは限られるのではないでしょうか。
そして実際に米ドル高・円安への戻りが限られた場合は、なお大量に残っている可能性のある米ドル買いポジションの処分売りの影響に注目が集まります。
以上を踏まえると、今週の米ドル/円は引き続き反発が限られる可能性から、140~144円中心での展開を想定したいと思います。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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