画像:PIXTA

世界的な一流投資家たちは、みなそれぞれ独自の信念と哲学を有している──。本連載は、金融ジャーナリストであるウィリアム・グリーン氏の著書『一流投資家が人生で一番大切にしていること』(早川書房)より一部抜粋して紹介し、一流の投資家たちの成功哲学を探ります。今回は、投資界の新星とされ、歴史を見てもとくに挑戦的なヘッジファンドを立ちあげた投資家、ジェイソン・カープ氏に著者がインタビューした際のエピソードを、一部抜粋して紹介します。

「充分な金を稼いだ。だが魂が腐っていくような感覚があった」

2020年に再会したとき、カープはこう話してくれた。「トゥールビヨンでの最後の数年間は臨床的にうつ状態にあった。じつは、成功の絶頂にいたときも患っていた」 。金も称賛も派手なライフスタイルも、どれも彼を幸せにはできなかった。

 

「リタイア後の人生を何度も送れるくらい、充分な金を稼いだ。だがそれでも、いつもどこか空虚というか、魂が腐っていくような感覚があった」

 

短期の賭けに次々に打って出なければならないトレーダーの仕事に中毒になっているとも感じた。

 

「値動きの読みあいに勝とうとするこのゲームは、依存性は高いが、実際には何もつくりださない」

 

カープは過去に人生を方向転換したことがある。20代のころ、加工食品やアルコール、カフェイン、さらには化学物質を含むシャンプーやデオドラント品をいっさい使わない「ウルトラクリーン」なライフスタイルを実践し、健康を取りもどした。

 

40代になったいま、彼は再び人生をつくりなおそうとしている。「永続的な価値」をもつ何かを創出しようと決心し、持ち株会社を新たに立ちあげ、「人の健康的な生活に役立つ」企業を支援し育成する事業に乗りだしたのだ。まさに彼の強みを生かせる隙間市場(ニッチ)であり、クリーンな暮らしと持続可能性を重視する事業姿勢は彼の価値観に合致している。

 

カープは住む場所も変えることにし、マンハッタンを離れ、妻と子どもを連れてテキサス州オースティンに移住した。そこを選んだのは、「健康とウェルネスのメッカ」であり、「気候がよい」「自然に包まれた暮らし」「州法人税や個人の所得税がかからない」「くたびれたニューヨークの金融人が味わえなかった現実肯定感がある」土地だったからだ。

 

彼が最も望んでいたのは金ではなく、バランスのとれた健康的な生活と、人を助けるという「理念に裏打ちされた」事業を展開する機会、そして自分の運命を自分でコントロールできる充足感だった。

 

いま、彼はどんな気持ちでいる? 「この20年間で最も健康で最も幸せに暮らしている」。

 

 

金融ジャーナリスト

ウィリアム・グリーン

 

注目のセミナー情報

【国内不動産】5月13日(月)開催
銀行からフルローンを引き出す「最新不動産投資戦略」
利回り7%超!「新築アパート投資」セミナー
~キャッシュフローを最大化させるためのポイントも徹底解説

 

【国内不動産】5月16日(木)開催
東京23区×新築×RC造のデザイナーズマンションで
〈5.5%超の利回り・1億円超の売却益〉を実現
物件開発のプロが伝授する「土地選び」の極意

 

【事業投資】5月25日(土)開催
驚異の「年利50% !?」“希少価値”と“円安”も追い風に…
勝てるBar投資「お酒の美術館」とは

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

■恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ

 

■入所一時金が1000万円を超える…「介護破産」の闇を知る

 

■47都道府県「NHK受信料不払いランキング」東京・大阪・沖縄がワーストを爆走

 

一流投資家が人生で一番大切にしていること

一流投資家が人生で一番大切にしていること

ウィリアム・グリーン

早川書房

「金は確かに大切だ。だが、豊かな人生に不可欠ではない」 三十年以上にわたる世界的な一流投資家へのインタビューを通じて明かされる、投資の極意と幸福の哲学のすべて。 世界的な一流投資家たちは、みなそれぞれ独自の信…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧