コンビニテナントの入居前日に、叔父が逝去…
別の店舗が入居していた頃から、「社長、ここの1階のテナントさんが出ることがあったら、ぜひ声かけてください」と大手コンビニチェーンからオファーがあり、紘子さんが閉店の準備を始めた際、その話が決まり、コンビニが入居することになった。
叔父の毅さんは大いに喜んでいた。しかし、コンビニが開店する前日に毅さんは倒れて入院、そのまま亡くなった。
叔父さんの所有分は、そのまま娘の初美さんが引き継いだ。
駅前ビルは紘子さんと初美さんが半分ずつ所有することになった。
老朽化が進み、大きな費用がかかる大規模な修繕が必要になってきた。2人は話し合い、ビルを売ってもいい、と決断した。
「お会いして、1~2年かけていろいろな話をしまして、私もあちらも、この先、子どもたちにまた同じような思いをさせるのは嫌なので、ここで終わりにしたいですね、という話になりました」(紘子さん)
ビルは入っているテナントによって、売却価格も違ってくる。いいテナントが入ったことで、ビルの価値は上がった。不動産市場も伸びてきていて売却には絶好のタイミングだった。
先祖や家族から受け継いできた不動産を売るには、それだけの理由がある
駅前ビルを売却できたのは、令和4年の8月。売却のタイミングは、数年の時間をかけて、ていねいに見極めた。不動産価格は時期によって変わるが、流れを注意して見ていれば、おおよそは読める。
個人が買える規模ではないが、場所がよいので、不動産業者が手を上げてくれた。結果、読みよりも、かなり上振れした価格で売却できた。
高く売れれば、次のステップも変わってくる。この売却の成功は、亡くなった人たちが応援してくださったのではないか、と紘子さんとも話したことがある。
先祖や家族から受け継いできた不動産は、売るには売る理由がある。売ると決めた以上、より高く売れる可能性を追求することが大切だ。
松本 隆宏
ライフマネジメント株式会社
代表取締役
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