休みの日には、日程を合わせて茜さんや同僚と一緒に近くの山に登ったり、紅葉の名所である「昇仙峡」に行ったりしました。茜さんらと接して、黄さんは「人生にはいろいろな可能性があると気づいた」と言います。
名門大学の出身だけに黄さんの周囲は医者や弁護士、大企業のサラリーマンなどエリートばかり。「自分はそうしたいわゆるエリート街道に興味がなく、どうしたら良いか悩んでいた。日本の仲間と交流する中で少しずつ悩みが小さくなってきた」と笑います。茜さんは仕事の契約期間を終え、現在はインドを旅行中だそうです。
「日本での経験を人生の糧に」台湾の地方創生に興味
黄さんは12月から新たなリゾートバイト地で働いています。契約終了後の3月下旬には桜前線に合わせて花見をしながら旅行し、4月下旬からは九州で働きます。日本を満喫し、台湾に帰国するのは来秋の予定です。帰国時期は近づいてきますが、黄さんは「まだ一生でやりたいことがきちんと見つかったわけではない。いまも探している途中」と話します。日本で働き、旅をするという夢をかなえた黄さんですが、悩みや迷いが完全に消えたわけではないようです。
黄さんが今、ぼんやりと考えているのは、将来、出身地に戻って地元の活性化に取り組みたいということです。「『地方創生』という言葉も日本で学んだ。田舎の人がどう生活していて、都会と違うどんな良さがあるのかを多くの人たちに伝えていきたい」と夢を語ってくれました。
「日本では多くの出会いがあり、これまでできなかった多くの経験ができた。これを人生の糧にしたい」。黄さんは言います。地方でリゾートバイトを積極的にやっているのは、台湾での地方創生の実現のためでもあるそうです。悩みながら、迷いながら、日本で「旅をするように働く」黄さんが、近い将来に人生をかけてやりたいと思える具体的な仕事を見つけられることを願っています。
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