老舗ホテルの御曹司「家業は微妙」…いったんメーカーに就職
石坂尚勢さん(23)の両親は、栃木県で創業100年以上のビジネスホテルを経営しています。いわば老舗ホテルの御曹司ですが、学生時代はまったく宿泊業に興味をもてず、進学したのは工業高校。車が好きで、卒業後は自動車の部品メーカーに就職しました。
両親は家業と無関係な企業に就職した石坂さんに「好きなことをやってくれればいい。無理してホテルを継ぐ必要はないよ」と言ってくれました。しかし、石坂さんの胸中は複雑でした。寛大な両親に感謝しながらも「両親が年を取って働けなくなったときに、僕が跡を継がなかったら、このホテルはどうなるのだろう」と人知れず悩んでいたのです。
メーカーで働き始めた石坂さんでしたが、工場では部品を流れ作業で生産する仕事が中心。「好きな車をつくっている、という実感をまったく持てなかった」と言います。次第に「僕はいったいなにをやっているんだろう」と悩むようになりました。
工場の仕事に疑問を持ちながら、休日に実家に帰ったときのこと。実家のビジネスホテルの仕事でフロント業務をやらせてもらった際に、宿泊客との会話が意外に楽しいことに気づきました。石坂さんは「工場の仕事と違い、ホテルは人とコミュニケーションを取り、相手のニーズに合わせてサービスをする。お客様に貢献している実感がわいた」と言います。こうして石坂さんは「自分は宿泊業のほうが向いているのかもしれない」と方向転換を考え始めました。
家業の手伝いとは緊張感が違う…
とはいえ、自分が宿泊業に向いているという確信までは持てませんでした。思いついたのが沖縄県でのリゾートバイト。気軽にできるうえ、ホテル業の修行にもなるリゾートバイトで「自分の気持ちを試してみよう」と思ったのです。毎年家族で沖縄を旅行していて馴染みがあったことも決意を後押ししました。3年間働いた部品メーカーを退職した石坂さんは、リゾートバイトの仕事を紹介してもらうことにしました。
2023年1月から働いた沖縄・恩納村のリゾートホテルでは、フロントの仕事をしました。石坂さんは家業のビジネスホテルでもフロントをやったことがありました。しかし、「仕事として接客や受付を仕事としてやるのは初めてだった。実家のホテルを手伝うのとは緊張感が大きく違った」と話します。
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