画像:PIXTA

旅するように働き、稼ぐ。リゾート地での仕事を通じて、そんな生活を満喫する人たちがいる。サラリーマンを卒業して精神的に豊かな暮らしを取り戻した人、勤務したリゾート地が気に入って移住してしまった人。リゾート地での仕事を転々としながら日本一周を目指すインフルエンサー。旅するように働く人たちの形はさまざまだ。この連載では、リゾートバイトを通じて精神的にも金銭面でも豊かな生活を目指す人たちを紹介していく。

きっかけは「短期集中で稼ぎたい」

弁護士を目指して福岡県の法科大学院で学んでいた山本浩さん(仮名、38歳)が、リゾートバイトに関わったのは25歳のときでした。

 

合格を目指して1日16時間の猛勉強をしていましたが、収入はなく、学費や交通費などのコストもかさみます。「このまま親のすねをかじり続けるわけにはいかない」と思ったのです。

 

とはいえ、仕事ばかりしていると勉強時間が不足し、合格が遠のきます。このため「短期的に集中して働き、効率的に一定の金額を蓄えられる仕事はないか」と、リゾートバイトなどの派遣会社をインターネットで検索したそうです。

仕事場は老舗旅館、2ヵ月で30万円貯蓄

初めてのリゾートバイト先は、熊本県にある創業300年の老舗旅館A。同僚は「旅をするように働きたい」「知らない土地で働きたい」「交流を広げたい」といった動機で働いていました。

 

 

しかし、当時の山本さんには、そんなことよりも短期でお金を稼ぎ、また実家に戻って法律の勉強に集中することが大事でした。司法試験という難関を乗り越えるために必死だったのです。

 

実際に予想以上にお金を貯めることができました。山本さんはもともと「2ヵ月に20万円くらい貯められればいい」と思っていました。

 

しかし、給与は月18万円程度で住み込みのため家賃はゼロ、食事もついていました。実際には目標より10万円近く多い30万円近くもの貯蓄ができました。

頼りになる先輩社員との出会い

リゾートバイト先では予約関連の事務やフロント、レストラン、会場設営など多くの仕事に携わりました。

 

特に印象に残っているのが指導係だった旅館の社員、加藤学さん(仮名)です。加藤さんには、電話での言葉遣いや接客、パソコンの操作、ポップ作り、ワードやエクセルの使い方などを細かく指導してもらいました。

 

加藤さんは、社会人経験の浅い山本さんに仕事の仕方を丁寧に教えてくれました。

 

たとえば電話対応。「電話が鳴ったら3回のコール未満に出るようにしなさい」と言われました。そのうえで「2コール以内で出た場合は『ありがとうございます。A旅館です』」と受け答えるようにします。電話に出るまでに3コール以上かかった場合は、「お待たせしました。A旅館です」と答えるようにする、というビジネスマナーです。

 

山本さんは「ビジネス用語や話し方などをきちんと教えてくれ、社会人の基礎を学ばせてもらった」といまでも感謝しているそうです。

 

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