災害に備えるなら、まずは「水、ライト、ラジオ」の3点
「災害に備えて何か用意するものはある?」と聞かれたら、私は、「水、ライト、ラジオ」の3点をまず答えます。
理由は、
「清潔できれいな飲料水がないと脱水症状で倒れる」
「光がないと精神的に不安定になる」
「正確な情報がないとデマに流される」
からです。災害時に落ち着いて行動するために、まずはこの3点を準備しておきましょう。
また、もし水害から逃げ遅れて屋根などに避難する場合、なるべく明るい服を着て、できれば水分、懐中電灯、ラジオに加えて毛布を用意しましょう。水分は脱水を防ぐため、ライトは夜間の発見率を上げるため、ラジオは最新の情報を得るため、毛布は低体温症から身を守るために必要です。
冬場は「熱源を確保する」「濡れたらすぐに着替える」を徹底
次に、被災時に生き延びるために、「3分・3時間・3日・3週間」を覚えておいてください。これは、「空気・体温・水分・食料」の順序になります。
十分な空気を確保できているなら、「身体を温めることが第一優先」という鉄則を覚えておいてください。
特に冬場は、「まず身体を温める」というアクションが重要になります。冬場の災害では体温が奪われると命にかかわるので、「熱源を確保する」「濡れたらすぐに着替える」を徹底してください。ビニール袋や新聞紙は保温に役に立つので、腹に巻いたり、服のように着るといいでしょう。
繰り返しにはなりますが、災害時には、まず身体を冷やさないことを頭に入れて動いてください。
「ポンチョ」は野外での着替えなどにも役立つ
災害に備えて女性が持っておいたほうが良いものに、「ポンチョ」があります。
ポンチョは保温に使えるのはもちろんのこと、お子さんを抱えながら雨風をしのぐのに役立つことや、野外での着替えなどにも使えるからです。
陸上自衛隊でもポンチョは貸与されますが、汎用性が高く、用途が広く、簡易テントにすることも可能です。
災害時における最強の飲み物は「水道水」
続いて重要な水分補給について解説しましょう。実は災害時で最強の飲み物は、水道水です。水道水はとにかく腐らないからです。水道水は常温で3日間持ちます。そして、何日も水筒に入れっぱなしでもあまり腹を壊さない、傷の手当てにも使えるなどの利点が多いのです。
「カルキくさい」「塩素くさい」と評判の悪い水道水ですが、水道水はきびしい検査があり、日本ほどきびしい基準を設けている国はほぼありません。
陸上自衛隊でも、水道水は長期保存しても腐らないので、「災害時や野外行動で重宝するのはやはり水道水」と教わりました。
水道水が確保できない場合も考慮して、「携帯浄水器」も準備しておくと良いでしょう。ソーヤーなどが出しているサバイバル用の浄水器を使えば、川の水や雨水でも飲むことができます。清潔な水を手に入れるためにも、余裕があれば準備をしておきましょう。
非常食は「普段でもおいしく食べられるもの」を選ぶ
そして、大切になるのは非常食です。まず、大前提として非常食を「面倒くさいから同じでいいや」と適当に準備するのは避けましょう。理由は、同じものばかりを食べていると、身体が「拒否反応」を起こすことがあるからです。
お腹が空いていても「これだけは食べたくない…」という気持ちになります。
そして、非常食は味にクセがあるものも多いので、口に合わないと災害時に、「食べたくない…」ということが起こります。こうなると、空腹を感じていても脳が食べることを拒否して、なかなか飲み込めなくなります。
拒否反応を防ぐためにも、非常食も味に多彩性を持たせましょう。たまにはレトルト食品も食べ比べして、「普段でもおいしく食べられる」非常食を選んでください。災害時に口に合わない非常食を食べ続けるのは苦行ですからね。
プロテインやビタミン剤も入れておく
また、非常食は「糖質」がメインになりがちなので、タンパク質を補うために「プロテイン」も準備しておいてください。
プロテインは保存が利くタンパク質で、ストレスで食欲がなくても飲んで栄養補給できます。いざというときに大切な食料になります。
加えて、「チョコラBB」などのビタミン剤や「歯ブラシ」も一緒に入れておきましょう。保存食にはビタミンが足りないので、数日たつと口内炎だらけになりやすく、また、当然ですが、何日も歯を磨かないと虫歯になります。口内炎や虫歯の痛みがストレスにならないように、災害時でも口の健康を忘れないでください。
視力の悪い人は「予備のメガネ」も準備してください。災害時にはメガネを「紛失」「破損」する可能性があります。よく見えない状態での活動は非常に危険なので、安いメガネや古いメガネを予備にすると良いでしょう。
ぱやぱやくん
防衛大学校卒の元陸上自衛官。退職後は会社員を経て、現在はエッセイストとして活躍中。名前の由来は、自衛隊時代に教官からよく言われた「お前らはいつもぱやぱやして!」という叱咤激励に由来する。著書に『今日も小原台で叫んでいます 残されたジャングル、防衛大学校』『陸上自衛隊ますらお日記』(どちらもKADOKAWA)、『飯は食えるときに食っておく 寝れるときは寝る』『「もう歩けない」からが始まり』(どちらも育鵬社)などがある。
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