郷土愛が強い経営者たち
もちろん、旅行をしてみるのもいい手だ。どこに行っても、何かいいものは見つかるものだ。僕の場合は、最初に高知で見つけたいいものは、「ごはんがうまい」ということだった。
学生時代の僕は寮とパチンコ屋の往復のような生活だったから、旅行なんてしていない。高知県内の有名な観光地でさえ、ほとんど行ったことがなかった。だから、旅の大切さに気づいたのは、経営者になってからである。経営者団体の用事などで、いや応なしに全国を飛び回らざるを得なくなった。
そこで気づいたのは、「都道府県によって、こんなに人の考え方に違いがあるのか」ということと、「地元」のはずだった岐阜について僕は何も知らないということだった。岐阜県民はどんな気性なの? と聞かれても答えられない。それはそうだろう。両親とも岐阜県出身ではなく、名古屋に通勤する父親の都合で、岐阜に生まれ育っただけなのだから。
極端に言えば、岐阜について「名古屋に通いやすくて、土地が安い」というイメージしかないといってもいい。「地元」なのに。だから、「郷土愛」と呼べるほどのものは、僕にはない。こういう人は、決して少なくないのではないだろうか。特に大都市圏のサラリーマン家庭で育った人には多いはずだ。
ところが、全国の経営者たちとつきあってみると、みんな郷土愛が強くて驚いた。
わかりやすい例を出そう。僕が入っていたある経営者団体の中に、「薩長土肥の会」という、 鹿児島・山口、 高知・ 佐賀の経営者たちのグループがあった。ご存じのとおり明治維新を推進した有力な藩があった土地だ。
ある日、別の団体の集まりに出席しているときに、「『薩長土肥の会』というのがあって」と何げなく話したら、相手の顔色が変わった。「俺は山口がだいっきらいなんだ」 。福島の人だったのだ。こちらもよく知られているように、福島にあった会津藩は、戊辰(ぼしん)戦争で薩長を中心とする新政府軍と戦った因縁がある。
いずれにせよ、百年以上前の話である。いまだに「薩長土肥」で集まるのも、戊辰戦争の恨みを忘れていないのも、郷土愛のなせるわざだ。
それが、僕にはとても新鮮に感じられたのだ。日本は狭いようでいて、土地によって非常に多様性がある。
一方、「地元」と自分の結びつきは、必ずしも深くはない。だからこそ、他人の「地元」もフラットな目で見ることができる。僕には「〇〇県のやつはだいっきらいなんだ」といったこだわりは、よくも悪くもない。
この2つのことに気づいて、僕はますます旅をするのが面白くなった。常に新しい発見があるからだし、それは即、ビジネスの可能性を広げてくれるヒントでもある。あなたも、そんな意識を持って旅をしてみてほしい。
必ずしも遠くに旅する必要はないし、広範囲を回らなくてもいい。「地元」と思ってきた土地にさえさまざまな発見があるはずだから、盆、暮れの帰省だっていいチャンスになる。
「水が合う」という言葉があるように、何となく居心地がよいと思える場所を探す意識を持ってほしい。居心地というのは、食べ物とか気候とか、人々の性質やことばといったいろんな要素が絡まる複雑なものだから、自分の直感を信じること。
一方、どこに旅をするかを選ぶ段階では、客観的な指標を頼ってもいい。気候もそうだし、僕の場合だったら、これから移住するなら南海トラフ巨大地震の影響が少ない場所を選ぶ(高知県はもろに影響を受けるけれど)。こうした基準を持っていくつかの土地を訪れてみて、感覚を研ぎ澄まして現地を体験してみよう。
〈レッスン〉
もともと旅行が好きな人は、どうかそのまま、楽しく旅を続けてほしい。
あまり旅行をしない人は、とりあえず旅行サイトに登録してみよう。うるさいくらい旅行のお誘いのメールを送ってくれるから。
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