(※写真はイメージです/PIXTA)

先祖代々受け継いだ土地や建物などの資産で、何もしなくても家賃収入を得て楽に暮らしている、と世間からは思われがちな「地主」たち。しかし、実際のところは、多額の相続税や銀行の都合に振り回され、苦汁を飲まされるケースもあります。地主専門の資産防衛コンサルタント業に従事する松本隆宏氏の著書『地主の真実』より、令和時代の地主たちが抱える深刻な問題を、具体的な事例をもとに見ていきましょう。

四十九日から返済を迫る銀行

先代が不動産経営者として得意としたのは分譲住宅の販売だった。

 

亡くなったとき、先代は現役の経営者だった。地元で24棟の分譲住宅の造成が終わったばかりで、まだ半分以上が売れ残っていた。

 

そのプロジェクトの融資は地銀のS銀行であった。

 

その分譲住宅にかかる融資契約は、分譲住宅の売買が成約し、買主に引き渡しが完了したらその分の借入金を返済するという、1棟ずつの短期融資になっていた。

 

支払が滞っていたわけではないが、S銀行は、四十九日の頃から返済を迫ってきた。そして、「なかなか完済しないですね」と、金利を2.0%から2.5%に上げてきた。

 

万里江さんは多額の相続税で頭がいっぱいで、それどころではなかったという。

 

「考える余裕も与えられず、引き上げられてしまいました」(万里江さん)。

 

銀行は油断ならない。

 

万里江さんはそう思ったが、別途相談した銀行(都銀)は味方になってくれた。

 

「じつはこういうことがありました、とメガバンクのM銀行に話をしたら、上席の方が、それは足元を見られていますよ、と教えてくれました。これはいくらなんでも金利が高いから、せめて現状維持で、と交渉してみたらどうですか、と交渉の仕方も教えてくださいました」(万里江さん)

 

その半年後、地銀のS銀行は再び金利を上げようとしてきたため、融資を先の地銀T銀行に借り換えた。

 

短期融資なので、次々に販売して、回していかなくてはならない。

 

「とにかく事業を止めてはならない」と、夫妻は残った新築分譲住宅を必死で売り切った。

 

この件を振り返って、万里江さんは言う。

 

「銀行が資産を見て、0.5%くらい上げても大丈夫だろう、と勝手に判断して、金利を上げられてしまったんだと思います。こっちは父が亡くなって間もないし、相続の渦中でいろいろ大変な時期でした。私が対応していましたが、足元を見られたんですよね」

 

 

松本 隆宏

ライフマネジメント株式会社

代表取締役

 

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※本連載は松本 隆宏氏による著書『地主の真実』(マネジメント社)より一部を抜粋・再編集したものです。

地主の真実

地主の真実

松本 隆宏

マネジメント社

世間一般にイメージと違う地主の真の姿を明らかにし、どのような問題をかかえ、どのように解決し資産防衛してきたかを著者=「地主の参謀」がレポートした。

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