四十九日から返済を迫る銀行
先代が不動産経営者として得意としたのは分譲住宅の販売だった。
亡くなったとき、先代は現役の経営者だった。地元で24棟の分譲住宅の造成が終わったばかりで、まだ半分以上が売れ残っていた。
そのプロジェクトの融資は地銀のS銀行であった。
その分譲住宅にかかる融資契約は、分譲住宅の売買が成約し、買主に引き渡しが完了したらその分の借入金を返済するという、1棟ずつの短期融資になっていた。
支払が滞っていたわけではないが、S銀行は、四十九日の頃から返済を迫ってきた。そして、「なかなか完済しないですね」と、金利を2.0%から2.5%に上げてきた。
万里江さんは多額の相続税で頭がいっぱいで、それどころではなかったという。
「考える余裕も与えられず、引き上げられてしまいました」(万里江さん)。
銀行は油断ならない。
万里江さんはそう思ったが、別途相談した銀行(都銀)は味方になってくれた。
「じつはこういうことがありました、とメガバンクのM銀行に話をしたら、上席の方が、それは足元を見られていますよ、と教えてくれました。これはいくらなんでも金利が高いから、せめて現状維持で、と交渉してみたらどうですか、と交渉の仕方も教えてくださいました」(万里江さん)
その半年後、地銀のS銀行は再び金利を上げようとしてきたため、融資を先の地銀T銀行に借り換えた。
短期融資なので、次々に販売して、回していかなくてはならない。
「とにかく事業を止めてはならない」と、夫妻は残った新築分譲住宅を必死で売り切った。
この件を振り返って、万里江さんは言う。
「銀行が資産を見て、0.5%くらい上げても大丈夫だろう、と勝手に判断して、金利を上げられてしまったんだと思います。こっちは父が亡くなって間もないし、相続の渦中でいろいろ大変な時期でした。私が対応していましたが、足元を見られたんですよね」
松本 隆宏
ライフマネジメント株式会社
代表取締役
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