老後の生命保険の見直しには要注意
「子供が一人前になったら死亡保障は要らない」と思われがちですが、早期にパートナーが亡くなった場合には田村さんのようなことになってしまうことがあるのです。夫婦の片方がいなくなったとはいえ、単純に生活費が半分になるわけではありませんので、収入は大幅に減るのに対し支出はあまり変わらないためにその後の収支が大幅に悪化してしまうことがあります。
そして、幸江さんが誤認していた遺族年金の受給額です。幸江さんのようにすでに老齢厚生年金を受け取っている場合、配偶者が亡くなった場合に受け取ることができる遺族年金は配偶者の遺族厚生年金の金額から、幸江さん自身の老齢厚生年金を差し引いた金額です。
今回の場合、隆幸さんの厚生年金が約9万5,000円でしたので、隆幸さんが亡くなった際の遺族厚生年金は老齢厚生年金に3/4を乗じた金額になり、9万5,000円×3/4=7万1,250円となります。
そして、幸江さんが受け取っている6万5,000円との差額の6万1,250円が遺族厚生年金として幸江さんに支給されるようになります。生前に生命保険の見直しを行った際、営業マンから受けたアドバイスが誤っており、隆幸さんが予想外に早く亡くなってしまった場合の対策がなされていなかったことが問題です。
もしも寿命よりも早くに亡くなってしまった場合に残されたパートナーが生活していくために十分な資産を残せるのかを考え、生命保険を活用し死亡保障で対策するか、資産を運用し取り崩して不足分を補填する計画を考える必要があります。
まとめ
今回はゆとりのある老後と思われていたが、配偶者の死で不安な老後を抱えることになってしまった事例をお伝えしました。
生命保険文化センターの「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」によると、70歳~74歳の人の生命保険の補償額は1,460万円となっていますが、隆幸さんが加入していたのは合計で700万円と、平均値よりも少なかったといえます。
また、今回のようなケースも、早い段階で資産を運用していれば保障が少なかったとしても安心していられる資産を残すことができたと考えられます。リタイア時のマネープランは、こういった想定外にも強い家計を創ることができるように、適切に金融商品や保険商品を活用しながらプランを考えていくことが大切です。
小川 洋平
FP相談ねっと
注目のセミナー情報
【国内不動産】5月13日(月)開催
銀行からフルローンを引き出す「最新不動産投資戦略」
利回り7%超!「新築アパート投資」セミナー
~キャッシュフローを最大化させるためのポイントも徹底解説
【国内不動産】5月16日(木)開催
東京23区×新築×RC造のデザイナーズマンションで
〈5.5%超の利回り・1億円超の売却益〉を実現
物件開発のプロが伝授する「土地選び」の極意
【事業投資】5月25日(土)開催
驚異の「年利50% !?」“希少価値”と“円安”も追い風に…
勝てるBar投資「お酒の美術館」とは
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
■恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ
■47都道府県「NHK受信料不払いランキング」東京・大阪・沖縄がワーストを爆走