ひとり暮らしする母の預金額に絶句した長男
夫婦で居酒屋を営んでいた80歳のAさん。4年前に5歳年上の夫を亡くし、現在はひとり暮らしです。夫の死後、49歳のひとり息子はAさんのために毎週実家へ帰っていましたが、Aさんは息子に心配かけまいと、気丈にふるまっていました。
古くて資産価値はないものの、自宅は持ち家なので家賃はかかりません。しかし、収入は国民年金のみ。月に均すと「約6万円」です。
Aさんは決して贅沢をせず、節約しながら生きていましたが、毎月6万円では到底生活できません。夫が死亡した時点で300万円ほどあった貯金は徐々に減っていき、ついに10万円をきってしまいました。
息子に心配をかけまいと、お金のことは話していなかったAさん。しかし心労もあり、どんどんやせ細っていくAさんを心配した息子が理由を問いただし、Aさんはついに現状を告白しました。
Aさんの預金額を聞いた息子は絶句。「なんでもっとはやく相談してくれなかったんだ!」と言ってくれたことは嬉しかった一方、息子にも金銭的な余裕がないことを、Aさんは知っていました。
息子の年収は450万円ほど。日本の平均給与である458万円(国税庁:令和4年分民間給与実態統計調査)と同程度で、ひとりで暮らす分には問題ありません。しかし息子には妻と子どもがいます。
息子としても、自分が援助できれば丸く収まるとは思いつつも、子どもにかかってくる教育費などを考えると、Aさんに金銭的な援助をする余裕はありません。頭を抱えた息子さんは、以前に知り合った筆者に相談することにしました。
収支の改善ではどうにもならないAさん…筆者の提案は
Aさんの収入は年金の月6万円しかなく、預金も10万円をきっています。
また、今は自宅で生活できていますがAさんは80歳と高齢なため、病気や介護のことも心配です。
そして、ひとり息子としてなんとかしたいという気持ちはあるものの、所帯があるため、金銭的な援助は現実的ではないという結論に至りました。
なおAさんの持ち家に価値があれば、自宅を担保にした融資制度である「リバースモーゲージ」を利用して、住居を手放すことなく収入を確保することも考えられました。しかし残念ながら、Aさんの自宅に担保の価値はなく、実現できませんでした。
ほかに現金化できる財産もなく、収支の改善は難しそうです。そこで筆者は、「生活保護の申請」を提案しました。