中国の都市化は世界でどれほど異例か?
農村部から都市部へ人々が移住するという現象は、どの国でも工業化が進むにつれて見られる。中国も例外ではなかったが、他の国々と比べるとはるかに大規模に、かつ速いスピードで進んだ。
改革開放期前夜の1978年には、都市部には人口のわずか18%しか住んでおらず、この割合は1950年代後半以降、1970年代末頃までほぼ変わっていなかった。しかし、その40年後の2018年には、都市部人口の割合は全体の60%にまで膨らんだ(図表1参照)。このような都市人口シェアの増加は、米国で1860年から1930年までの70年間で起こったものに近い。この間に米国では、都市部の人口が全体の20%から56%までに拡大した。つまり、中国の都市化は米国の約2倍の速さで進んだことになる。
加えて中国の都市化は、他の国で起きたものよりも格段に多くの人々を巻き込んだ。
1978年から2018年までの間に、都市部の人口は1億7200万人から8億3200万人に増えた。つまり、6億6000万人の増加で、これは現在の米国の人口の約2倍に相当する。これに対して米国では、1860年から1930年の間に、都市部の人口は6300万人しか増えなかった。中国の規模に多少でも匹敵すると言えるのはインドだけで、この国では1978年から2018年までの間に都市部の人口が3億1000万人増えた。
この莫大な数をイメージしやすくするには、新たに移住してきた都市住民を、年ごとに新しい街に住まわせたらどうなるかを考えてみるとよいだろう。中国の都市人口は毎年1600万人増えている計算になるので、この人々を住まわせるためには、ニューヨーク市の広域都市圏とフィラデルフィア市の広域都市圏を合わせた規模の街を、35年にわたって毎年つくらなければならない。
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