学生の子どもに対しても「役員報酬」を支払うことは可能
前回の続き、法人化によるメリットを見ていきます。
(3)家族へ給与を支払うことができる
家族へ給与を支払うことができる家族を雇い入れて給与を支払えば、所得を分散することができます。
所得税は、個人単位で税率が適用されます。同じ金額の所得を自分ひとりで受け取るよりも、複数で受け取るほうが、税の負担が軽くなります。たとえば、会社から役員報酬を1000万円受け取っているのなら、配偶者(家族)を雇用して、「自分:700万円、配偶者:300万円」に分割したほうが税額(所得税や住民税)を低くできます。
自分の子どもがまだ「学生」でも、役員に就任することは可能なので、役員報酬を支払うことはできます。ただし、「金額が妥当であること」と、「会社の経営を決定できるだけの知識を持っている」必要があります。
【図表1】
優遇税制が適用される退職金では課税額が大幅に圧縮
(4)退職金を支給できる
退職金は、長年の勤労に対する報償的給与として支払われるものなので、「退職所得控除」を設けるなど、税負担が軽くなるように配慮されています。
【退職所得控除】
•勤続年数が20年以下/40万円×勤続年数(退職所得控除額の最低額は80万円)
•勤続年数が20年超/800万円+70万円×(勤続年数-20年)
収入金額から勤続年数に応じた退職所得控除額を差し引き、残りの金額の2分の1だけが課税対象になります。
たとえば、「勤続30年」で「2000万円」の退職金を受け取った場合は、2000万円から退職所得控除額の1500万円を差し引き、さらに残りの500万円を2分の1にした「250万円」が課税対象です。
退職金を受け取る前に「死亡」した場合、亡くなった人の代わりに、遺族が「死亡退職金」を受け取ります。
「死亡退職金」は相続税の課税対象です。死亡退職金の金額が、「500万円×法定相続人の数の範囲内」に収まっている場合には、遺族は非課税で退職金を受け取ることができます。
【図表2】