法人化によって得られる多大なメリット
資産が大きくなれば、それだけ税金も莫大な金額にのぼりますから、資産を減らさない
ための「節税」は欠かせません。では、お金持ちは、どのような方法で資産を残しているのでしょうか。代表的な節税対策は、大きく、次の「2つ」です。
【節税対策2つの方法】
①法人設立
②相続・贈与対策
それぞれ、具体的に見ていきましょう。はじめに「法人設立」です。
①法人設立
法人を立ち上げて資産を「会社」と「個人」に分散すると、節税を図ることができます。たとえば、個人で不動産経営をしていた人が「不動産管理会社」をつくった場合、以下の節税メリットが期待できます。
(1)「法人税」は累進課税ではない
……「法人税」と「所得税」のダブルの節税効果が得られる。
(2)「給与所得控除」が受けられる
……会社員でも、自営業の「必要経費」に該当する控除が認められる。
(3)家族へ給与を支払うことができる
……学生の子どもを役員にすることさえできる。
(4)退職金を支給できる
……長年の勤労の功労として税金が優遇される。
(5)経費の幅が増える
……「高級外車」などを経費にすることができる。
(6)会社の所有財産には相続税がかからない
……家族を株主にしておく。
一石二鳥の節税効果をもたらす「新会社の設立」
(1)「法人税」は累進課税ではない
個人の所得税は、「累進課税」(所得が多くなるほど、税率が高くなる)なので、利益が出るほど、税率が高くなってしまいます。
個人だと、課税される所得の金額が、「195万円以下」の場合は、税率「5%」と低いのですが、「4000万円超」の場合は、「45%」です。一方、法人税の税率は、累進課税ではありません。
【法人税の税率】
•資本金1億円超の法人の場合/一律「23.4%」
•資本金1億円以下の法人の場合/年間800万円超の所得部分については一律「23.4%」年間800万円以下の所得部分については一律「15%」
目安として、年間の所得が1000万円を上回るのであれば、法人を設立したほうが有利になる可能性があります。
(2)「給与所得控除」はダブルのメリットがある
個人事業主の所得は事業所得ですが、会社員の所得は、「給与所得」です。会社を設立すると、個人事業主から「会社の代表取締役(取締役)」に就任し、会社から役員報酬(給与)を受け取ることになります。
給与所得には、所得税がかかりますが、所得税の計算をするときに、「給与所得控除」という名目で、給与収入から一定額を控除することができます。給与所得控除は、「給与所得者に認められた必要経費」とも言われています。
個人事業主の場合は、売上から仕入原価や販売経費などの必要経費を差し引くことができます。会社員の場合は、この必要経費の代わりに、給与所得控除が認められているわけです。実際にその金額を支出していなくても、控除することができます。
たとえば、自分の給与を「700万円」に決めると、年間で190万円の給与所得控除が認められるので、課税の対象になる額は、「510万円」です。また、役員報酬は会社の経費になり、会社の利益を圧縮でき、個人では給与所得控除が受けられるため、ダブルのメリットがあります。