経営者には忌避される…「実力ある内定ゲッター」の勘違い
「現在、内定を2社いただいていまして」
「いま一歩条件が満たされず辞退しました」
こんな話を切り出す転職活動中のエグゼクティブも少なからずいます。ネット系企業数社を渡り歩き、現在41歳でマーケティング部長を務めるFさんもその1人。
「なので、御社のオファーも来週中にいただけるとありがたいです」
成長中のベンチャーであるG社社長の心の声は、「おいおい、オファーが出る前に、自分が最終選択したい企業かどうか判断つかないのか。うちで仮にオファーに至ったとしても、気持ち良く意思決定するとは思えないな」
結果は言わずもがな。いくつも内定が出ているというのに残念です。
このタイプは、職務の専門性やスキルにおいては非常に力がありますが、問われるのはオーナーシップを持って自社の組織をけん引してくれるか否か。つまり、リーダーとしての資質やマインドです。入社後、責任者クラスなら必ず直面するタフな事象に遭遇した際に、奮闘して乗り越えてくれる人か、まっ先に逃げ出す(また他社に転職していく)人かが問われるのです。
他意なく内定ゲッター的な動きをする人は、こうしたコミットメント意識が希薄な確率が高いため、見る目のある経営者や人事責任者からは忌避されます。
以上、3つの事例に共通するのは「自分には価値がある。それを応募先でも認めてほしい」という意識が転職活動で過剰に出てしまい、結果として応募先企業に嫌われるという構造です。
受け入れる企業側は、「自分ファースト」なナルシストを自社の経営幹部・エグゼクティブとして採用したいとは思いません。「自分への評価(承認)ではなく、他者への貢献軸」でしっかり判断、行動するエグゼクティブが、転職先の新天地においても活躍し、結果として遇されることになります。
転職活動で「おかしいな。こんなはずではないのに」という状況が続いているエグゼクティブは、この罠にはまっている可能性があります。自身の言動を振り返り、軌道修正を試みるべきかもしれません。
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