「自分はできる人材だ」「売れる人材だ」と、転職活動においても自信満々なエグゼクティブ。そんな候補者には希望する企業からもすぐに声がかかり、大きな苦労もなく次の会社が決まりそうなものですが、そう簡単にはいかないようです。本稿では、株式会社経営者JPの代表取締役・CEOの井上和幸氏が、自信満々な人材によくみられるという、応募先企業から嫌われる「3つの姿勢」について解説します。
自意識過剰な人と結果を出す人のマインドの違い
「いまの会社は自分を活かし切れていない」
面接官に転職理由を聞かれ、中堅メーカーの管理部長を務める46歳のCさんは堰を切ったように話し始めました。
「私の上に本部長がいて、その上には役員もいる。管理部門は私に任せてくれれば、もっと戦略的な動きや組織マネジメントにも力を入れるのですが、うちの会社は私を使いきれていません。いまは●●しかやれていませんが、与えられればもっと重要な役割を担えます。期待されれば結果を出します。御社でぜひ、いまより上の職責を任せてください」
一見、やる気に満ち溢れているようにもみえますが、面接官であるD社CFO(最高財務責任者)の心の声はどのようなものでしょうか。
「うーん、何様だ? 与えられればやります? 現職で結果が出せていないことを会社のせいにするのか。これじゃあ、うちに入っても同じだろう。俺の下でやってもらうのは、ちょっと勘弁してほしいな」
このケースも残念。面接はこの後も続きますが、実質的にはこの段階でCさんのNGは確定していました。
「与えられればやります」も、「自分はできる人材だ」という自意識が強い転職希望者がよく口にする共通ワードです。結果を出してきた人、本当の意味で自信のある人は、このようには言いません(というか、こうした思考や行動をしません)。
常に実績を語り、今後チャレンジしたいことを語るのです。
自意識過剰な人が「まず機会を与えられる・期待される→やる・成果を出す」という思考なのに対して、結果を出してきた人は「やる・成果を出す→さらなる機会を与えられる・期待される」と、正反対の考えをします。このベクトルの違いは、とくにマネジメントやリーダーとしての転職希望者を「売れない人材」と「売れる人材」に大きく二分します。
株式会社 経営者JP
代表取締役社長・CEO
1966年群馬県生まれ。1989年早稲田大学政治経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。人材開発部、広報室、学び事業部企画室・インターネット推進室を経て、2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年より株式会社リクルート・エックス(2006年に社名変更、現・リクルートエグゼクティブエージェント)。エグゼクティブコンサルタント、事業企画室長を経て、マネージングディレクターに就任。
2010年2月に株式会社 経営者JPを設立(2010年4月創業)、代表取締役社長・CEOに就任。経営者の人材・組織戦略顧問を務める。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供している。人材コンサルタントとして「経営者力」「リーダーシップ力」「キャリア力」「転職力」を劇的に高める【成功方程式】の追究と伝道をライフワークとする。 実例・実践例から導き出された公式を、論理的に分かりやすく伝えながら、クライアントである企業・個人の個々の状況を的確に捉えた、スピーディなコンサルティング提供力に定評がある。自ら2万名超の経営者・経営幹部と対面してきた実績・実体験を持つ。
著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『知名度ゼロでも「この会社で働きたい」と思われる社長の採用ルール48』(共著、東洋経済新報社)、『あたりまえだけどなかなかできない 係長・主任のルール』(明日香出版社)、『プロフェッショナルリーダーの教科書』(共著、東洋経済新報社)、『人物鑑定法 あの人も、丸見えになる』(経済界)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。取材・コメント・出演実績として、「日本経済新聞」「朝日新聞」「読売新聞」「産経新聞」「日刊工業新聞」「週刊東洋経済」「日経ビジネス」「GQ JAPAN」「週刊現代」「プレジデント」「AERA」「月刊BOSS」「CIRCUS」「日経ビジネスオンライン」「ITmediaエグゼクティブ」「BOSS online」、フジテレビ「ホンマでっか?!TV」「キカナイトF」、その他業界誌等多数。
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連載相談実績2万名超の経営人材コンサルタント直伝!“エグゼクティブ転職”成功マニュアル