6割のエグゼクティブが転職を考えている…!?
少し前のデータですが、エグゼクティブの転職意向について独自に調査したところ、58.7%が「転職を考えている」ということがわかりました(経営者JP総研「エグゼクティブの転職に関する意識調査」2018 )。
その後のエグゼクティブ転職市場の活況をみるに、現在ではさらにポイントが上がっている可能性があります。
6割のエグゼクティブが転職を考えていますが、では実際には、どのような状況ならば転職を考えるべきといえるのでしょうか。転職はそもそも、慎重に進めるべき「大事(おおごと)」であり、多くの場合、勢いに任せた転職活動は失敗に至ります。
結論からいうと、今回取り上げる「転職を検討してもいい5つのサイン」がみえたら、そのときは確実に次に進むべきタイミングです。
以下、転職に踏み切ったエグゼクティブたちを例に挙げ、その「5つのサイン」についてみていきましょう。
「社外異動」すべき2つのサイン
40代で取締役・最高情報責任者(CIO)を務めているAさん。「これまで5年かけて、老朽化していた基幹システムの全面刷新を完了しました」とのこと。自社にはとても愛着があり、この5年の間に昇進して現在の立場に至っています。
「しかしここから先、自分が担える役割は完成したシステムの運用しかないのです」
Aさんはシステム以外の職務も担える人材ですが、そちらは社長が兼務しているため役割が回ってくる見込みはないそうです。Aさんは「この年齢で、あとは保守運用だけというのは自分の性格的にもちょっと耐え難く、ならば新たなチャレンジができる機会を考えようと思うのです」とこぼします。
前向きに転職を考えるタイミングとして、勤め先を変える「社外異動」が望ましい2つのサインがあります。それは現在の職場において①「これ以上の成長可能性がない」、②「達成したかったことを達成できた」という場合です。
①「これ以上の成長可能性がない」ケースでは、社外へ転じるという選択肢が有効になります。人はずっと同じことを続けていると、どこかで成長を得にくくなるものです。
異動や担当変更は、ほかの目的(たとえば特定の人に専門が偏りノウハウが共有されないとか、外部との固定的な関係性からくる癒着を防ぐなど)もありますが、なによりも社員一人ひとりの成長機会やリフレッシュという側面があります。
成長停滞の解消には、現在の職場環境において仕事の内容を組み替えたり変更を加えたりすることが第一です。
「職務の再活性化」は、多少ミッション変更や修正だけで実現することが少なくありません。とはいえ、そのようなギアチェンジをやりつくしてみても勤め先でこれ以上の成長機会が得られそうにない場合、転職という「社外異動」が前向きな選択肢となり得ます。
②「達成したかったことを達成できた」についても同じく、転職が解決策になり得ます。
やりたいと思えることがなにも残っていないならば、現在の職場やポジションではもはや成長できないからです。
Aさんのケースもこのパターンでしょう。大きなミッションが完了した。会社にはその機会をこれまで与えてくれたことにとても感謝しているし満足もしている。果たすべき役割を完遂でき、達成したかったことは達成した。そして、ここから先を考えたときに、もし社内にもはやこれまで以上の機会やニーズがない。
そういう状況ならば、会社と清々しく話し合い、合意の上で次の挑戦に進めるはずです。