(※写真はイメージです/PIXTA)

親子関係が良好であっても「親の資産」と「遺産相続」についてはなかなか話せない、という人は少なくありません。しかし、親の資産状況を正しく把握していないと、それがきっかけで“想定外の事態”に見舞われるケースもあると、牧野FP事務所の牧野寿和CFPはいいます。具体的な事例を交えて詳しくみていきましょう。

父から告げられた「まさかの事実」に息子は動揺

Aさんはフルローンを組んだあとで、実家に帰省。父にマイホームを購入したい旨と生前贈与の話をしようとした矢先、父から「お前に話しておきたいことがある」と言われました。

 

父「あのな……実は、事業を畳むことにしたんだよ

 

「えっ!?……廃業ってこと?」Aさんは動揺が隠せません。しかし父は淡々と、廃業の理由について話しました。

 

先月、父は注文とは違う刺しゅうを出荷してしまったそうです。年寄りの手作業ではすぐに代替品を作ることができず、所得2年分以上の製品損失分の代金を支払うことに。

 

また、それとは別に、築古の実家は居住部分に雨漏りがするようになり、知り合いの工務店に修繕を依頼したところ、「修理するより、作業場を含めて建て替えたほうが安上がりだよ」と言われたそうです。

 

「それでな、母さんともよく話し合って、看板を下ろすことにしたんだ」。

 

さらに父は続けて、「実家は取り壊すから、お前が家を建てて、そこに同居させてくれないか」と言います。

 

Aさんがこのタイミングで恐る恐る貯蓄について尋ねると、現在の両親の貯蓄は約2,000万円。店を畳んだことから今後の収入は年金だけになり、夫婦で181万7,600円(月額15万1,500円)になるそうです。

※ 総務省「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)」によると、75歳以上の2人以上の無職世帯夫婦の実収入は23万5,223円、消費支出額は22万810円となっている。また父は数年間会社勤めをしたことがあり、その分の老齢厚生年金も受給している。

 

Aさんはこの事実を前に、自身の事情はついぞ打ち明けることができませんでした。そのまま家に帰り、「どうしよう……」と顔面蒼白になったAさん。後日、過去に会社へ講演に来ていた筆者のところへ相談にみえました。

 

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※プライバシー保護の観点から、登場人物の情報を一部変更しています。
※本記事で紹介した介護サービスの手続きの詳細は、自治体ごとに異なるところがあります。

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